松山市を拠点とする運輸会社、伊予鉄グループ株式会社が四国電力に対する保有比率を11%台まで引き上げた。その過程で借入を多用した。2026年9月4日に四国財務局へ提出された変更報告書によると、保有比率は四国電力の発行済株式207,528,202株の10.17%から11.24%に上昇し、9月2日の報告義務発生日時点で23,331,782株に相当する。
報告書には2026年7月中旬から9月上旬にかけてほぼ連日の買い付けが記録されており、株価が7月27日の1株1,613円から9月2日には2,059円まで上昇するにつれ、取引所外での取引が増えていった。伊予鉄グループは保有目的を純粋な投資であるとしており、重要提案行為の開示はない。
借入金と株式の担保差し入れ
総額32,119,970千円(約321億2000万円)に上る取得資金のうち、23,764,977千円(約237億6000万円)は伊予鉄グループの自己資金、8,354,992千円(約83億5000万円)は借入によるものだった。貸し手はあおぞら銀行関西支店と野村信託銀行である。伊予鉄グループは2025年11月21日付で締結した貸越契約に基づき、あおぞら銀行に対して500万株を担保として差し入れ、また別の貸越契約に基づき2026年2月24日付で野村信託銀行に対してさらに5,264,600株を担保として差し入れた。なお、報告書には野村信託銀行との契約自体がいつ締結されたかは記載されていない。
| 貸し手 | 借入金額 | 担保株式数 | 担保設定日 |
|---|---|---|---|
| あおぞら銀行(関西支店) | ¥5.0bn | 5,000,000株 | 2025年11月21日 |
| 野村信託銀行(本店) | ¥3.35bn | 5,264,600株 | 2026年2月24日 |
担保に差し入れられた株式は合計10,264,600株に達し、伊予鉄グループが四国電力について現在保有を報告している2,333万株のうち大きな割合を占める。これは自由な保有株式ではなく、銀行の融資枠に対する担保として相当な規模に上る。
報告書が明らかにしていないこと
この報告書は、日本の大量保有報告制度における1ポイントの報告基準を超えたことに伴う機械的な開示であり、戦略を説明するものではない。陸運会社がなぜ地域の電力会社に対して二桁台の保有比率を積み上げているのか、買い増しを続ける意向があるのか、四国電力の株価が担保契約に支障をきたすほど下落した場合にどうなるのかについては説明されていない。
