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FIXER、通期売上予想27.9%下方修正 主力AI製品の展開遅れで

東京のAIベンダーの主力オンプレミス製品は販売展開の遅れで売上目標を9億2000万円下回り、営業損失は24億4000万円に拡大、取締役会は役員報酬の削減を検討

2026年9月1日3分で読めるFIXER5129
データセンターのラック間でサーバー機器を移動させる技術者たち、企業が技術リソースをコンピューティング環境間で移す様子を示す

東京証券取引所グロース市場に上場する生成AIベンダー、FIXER(5129)は2026年9月1日、今期の業績が4月時点の見通しを大幅に下回るとの見通しを株主に示した。同社は通期売上高予想を43億5000万円から31億4000万円に27.9%下方修正し、営業損失予想も15億5000万円から24億4000万円に拡大し、4月時点の計画より57.7%深刻化した。親会社株主に帰属する当期純損失は24億8000万円、1株当たり158円00銭となる見通しで、4カ月前の予想損失1株当たり105円77銭から拡大した。下方修正後でも前期を下回る内容で、FIXERは2025年8月期に売上高39億8000万円、純損失21億2000万円を計上していた。

計画が狂った要因

最大の要因は、機密データをクラウドに送れない官公庁や自治体、規制業種の企業向けに開発したオンプレミス型生成AI製品「Sovereign GaiXer」だ。FIXERはこの事業で9億5100万円の売上高を見込んでいたが、現在の見通しは3100万円にとどまり、9億2000万円の不足となる。同社は製品開発自体が遅れたと説明する。当初2月を予定していた本番環境での安定稼働は2026年4月までずれ込み、実際の販売・提供開始が遅れた。その後の販売体制も一段と遅れ、専任の営業チームが整ったのは7月、マーケティング活動が本格化したのも7月、成約に必要な顧客導入事例が整ったのは計画より数カ月遅れの8月だった。

合弁会社のMedical AI Solutionsは、営業チームや代理店網の構築が想定より遅れたことに加え、病院側の補助金承認の遅れが受注時期を後ろ倒しにしたことも重なり、目標を3億4500万円下回った。プロジェクト型の官公庁・公共団体向け契約は大型入札での失注が響き1億1300万円の不足となり、主力製品のクラウド版「GaiXer」も製品更新の遅れやサポート体制の薄さが解約を招き4400万円下回った。一方、リセール事業とマネージドサービス事業は好調で、合計2億1400万円の計画超えとなった。

FIXER 事業分野別通期売上高予想
単位は百万円。従来予想は2026年4月10日発表、修正予想は2026年9月1日発表。
事業分野従来予想修正予想増減
ソブリンAI(Sovereign GaiXer)¥951mn¥31mn-¥920mn
Medical AI Solutions(合弁会社)¥409mn¥64mn-¥345mn
プロジェクト型サービス¥798mn¥685mn-¥113mn
SaaS(クラウド版GaiXer)¥220mn¥176mn-¥44mn
リセール¥1,441mn¥1,551mn+¥110mn
マネージドサービス¥519mn¥623mn+¥104mn
その他/連結調整¥10mn¥5mn-¥5mn
合計¥4,348mn¥3,135mn-¥1,213mn

同社による説明

松岡真一社長は数字だけに語らせるのではなく、開示資料に自身の書簡を添えた。今回の不振は一つの判断に起因すると松岡氏は述べる。不振に陥っていたクラウド版GaiXer事業のてこ入れに営業人員やリソースを投入し続け、Sovereign GaiXerへの早期シフトを見送ったことだという。「どこに、いつ、どれだけのリソースを配分するかの判断は私の責任であり、その判断を誤った」と書簡には記されている。固定費の削減が間に合わなかったことも営業損失を3億6700万円押し上げた。

書簡では投資家の関心を集めそうな時期の問題にも触れた。FIXER株は9月1日の下方修正発表直前の取引日である8月28日と31日に大きく上昇しており、同社はこの発表順序が株主に与えた懸念について謝罪した。松岡氏は、今後は通期見通しを毎月取締役会に報告し、公表済みの見通しとの差異が開示を要する基準を明文化すると述べた。取締役会は役員報酬の削減も別途検討しており、詳細は決定後に公表するとしている。

FIXERは7月、クラウドチームの人員の約半数をSovereign GaiXerに移した。同社は、8月27日に発表された東京メトロポリタンテレビジョンとのAI共同開発プロジェクトや、翌日発表された埼玉県草加市での導入決定を、方針転換が機能している早期の兆しとして挙げているが、これらは業績に反映されるまでは「結果ではなく兆し」だと注意を促している。来期の見通しは2026年10月9日発表予定の通期決算とともに示される。