マレーシアのIHH Healthcare Berhadの完全子会社で、シンガポールに本社を置くNorthern TK Venture Pte Ltd(NTK)は、第一三共に対する損害賠償請求を全面的に棄却した東京地方裁判所の判決を不服として控訴した。第一三共は9月28日、NTKが9月24日付で東京高等裁判所に控訴状を提出したことを確認したと発表した。地裁が請求を全部棄却したのは9月10日で、その2週間後の控訴となる。
今回の紛争の発端は、ランバクシー元株主に対する2016年の仲裁判断にさかのぼる。第一三共がインド裁判所を通じてこの仲裁判断の執行を進める中、インド最高裁判所はNTKによるFortis Healthcare Limitedへの公開買付の停止を命じた。NTKは、第一三共の行為がこの停止とそれに伴う損失を招いたと主張していた。NTKは2023年10月16日、東京地方裁判所に200億円の損害賠償を求めて提訴し、その後2025年5月9日付の訴えの変更申立てにより、請求額を2,033億180万7,840円に拡張した。請求内容は、損害賠償に加え、株式取得等の妨害差止め、そしてNTKが指定する文章を第一三共のウェブサイトに掲載し、同内容の書面をインド証券取引委員会(SEBI)に提出することを求めるものである。
東京地方裁判所は9月10日、すべての争点で第一三共の主張を認め、NTKの主張には理由がないと判断した。この判決について第一三共が公表した当時のリリースでは業績への影響はないとしていたが、9月28日付の控訴に関する開示では、連結業績への影響は精査中であるとしている。
2,033億円という請求額はNTK側の主張であり、裁判所が認定した金額でも第一三共が負うべき損害の見積もりでもない。東京地方裁判所はすでにこの請求を一度棄却している。東京高等裁判所が同じ結論に至るかどうかが、今後の焦点となる。
