本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

記事

東京電力パワーグリッド、財務制限条項付き借入5件を締結 2027年3月に一斉満期

東京電力パワーグリッドは今月、5件の借入契約を個別に締結した。うち2件は、貸し手の権利を子会社単体だけでなく東京電力ホールディングスグループ全体の利益・資産基準と連動させており、5件すべてが2027年3月の同じ日に満期を迎える。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月17日2分で読める
送電鉄塔に抽象的な財務台帳の線を重ねた、日本の電力送配電会社に課された融資契約上の財務制限条項を表すエディトリアルイラスト

東京電力グループの送配電部門である東京電力パワーグリッドは、9月11日と9月15日に5件の借入契約を個別に締結した。この事実は9月17日に関東財務局へ提出された臨時報告書で開示された。借入額は1395億円から2790億円の範囲で、都市銀行、信託銀行、生命保険会社からなるシンジケートによるもののほか、政府系金融機関からの2187億円の借入も5件目として含まれる。5件すべての満期は同じ2027年3月30日で、いずれも無担保である。

東京電力パワーグリッドの新規借入契約5件
5件の契約はすべて2027年3月30日に満期を迎え、無担保である。
契約貸し手の種類元本財務制限条項の適用範囲
借入1(9月15日)都市銀行、信託銀行、生命保険会社¥139.5bn単体のみ
借入2(9月15日)都市銀行、信託銀行、生命保険会社¥158.9bn単体のみ
借入3(9月15日)都市銀行、信託銀行、生命保険会社¥139.5bn単体のみ
借入4(9月15日)都市銀行、信託銀行、生命保険会社¥279.0bn単体+グループ全体
借入5(9月11日)政府系金融機関2187億円(1378億円+809億円のトランシェ)単体(1378億円)+グループ全体(809億円)

すべての契約には貸し手向けの基本的な保護条項が共通して盛り込まれている。すなわち、東京電力パワーグリッドの単体経常利益および調整後当期純利益はいずれの事業年度においても損失に転じてはならず、単体純資産は前期末水準の75%を下回ってはならない。いずれかの基準を満たせない場合、貸し手は期限の利益の喪失を宣言し、貸付金の早期回収を求めることができる。

このうち2件、すなわち2790億円の借入と、政府系金融機関からの2187億円の借入のうち809億円分については、条件がさらに踏み込んでいる。これらは返済に関する権利を、東京電力ホールディングス、東京電力フュエル&パワー、東京電力パワーグリッド、東京電力エナジーパートナー、東京電力リニューアブルパワーの5社からなる連結決算、および東京電力ホールディングス自体の連結決算の両方の業績と連動させている。この2件の借入は、両方の連結レベルにおいて経常利益が損失となることを禁じるとともに、四半期ごとに直近2四半期分を対象とする基準を追加で設けている。四半期利益は、貸し手が合意した基準値がプラスの場合はその75%以上、マイナスの場合はその125%以内でなければならず、純資産および現金残高についても同様に75%の下限が課される。2四半期連続でこの基準を満たせなかった場合、期限前償還条項(アクセラレーション条項)が適用される。

これらはいずれも財務制限条項(コベナンツ)への抵触を示すものではない。今回の報告書が開示しているのは違反ではなく、東京電力パワーグリッドが9月11日と9月15日に締結した借入契約に付された条件のみである。

同日、東京電力パワーグリッドは発行登録書の訂正届出書も提出した。この発行登録は2026年4月に効力が発生しており、発行予定額1兆円のうち発行可能残額は7900億円である。今回の訂正は、新たに提出された臨時報告書を今後の社債発行における参照書類として組み込むものである。発行登録の条件や発行可能額そのものに変更はなく、意味するところは、今後この発行登録に基づいて東京電力パワーグリッドの社債を検討する投資家が、これら5件の借入に付された財務制限条項の文言を目にするようになるということだけである。同社にとっては、これらすべての借入と、それに付随するあらゆる条件が2027年3月30日に一斉に満期を迎えるまで、残りわずか6カ月余りとなっている。