武田薬品工業は9月11日(米東部時間)、米食品医薬品局(FDA)が中等症から重症の尋常性乾癬(プラーク乾癬)の成人患者を対象としたザソシチニブ(TAK-279)の新薬承認申請を受理し、優先審査の対象としたと発表した。処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査完了目標日は2027年第1四半期、すなわち1月から3月の間のいずれかであり、特定の日付は定まっていない。
審査受理は手続き上の節目であり、薬剤そのものの評価を意味するものではない。
今回の申請は、21カ国で実施したプラセボ対照および実薬対照の第3相試験2件を根拠としている。患者693人を対象としたLATITUDE PsO 3001試験と、患者1108人を対象としたLATITUDE PsO 3002試験に加え、約2100人が参加した非盲検のLATITUDE PsO 3003試験による長期安全性の補足データも含まれる。主要な2試験はいずれも2つの主要評価項目と、順位付けされた44の副次評価項目すべてを達成した。同社は、合計で約3000人が参加したプログラム全体について、16週時点で約70%の患者が皮膚症状の消失またはほぼ消失に達したと説明している。
試験別にみると、プラセボおよび既存の経口乾癬治療薬アプレミラストとの比較結果は以下の通りだった。
| 評価項目 | PsO 3001(n=693) | PsO 3002(n=1,108) |
|---|---|---|
| 皮膚症状の消失またはほぼ消失(sPGA 0/1) | ザソシチニブ71% 対 プラセボ11% 対 アプレミラスト32%(p<0.001) | 69% 対 プラセボ13% 対 アプレミラスト30%(p<0.001) |
| 皮膚病変面積75%改善(PASI 75) | 76% 対 プラセボ12% 対 アプレミラスト37%(p<0.001) | 71% 対 プラセボ12% 対 アプレミラスト33%(p<0.001) |
ザソシチニブは、頭皮、爪、手のひらや足の裏など、同社が治療が難しく患者の生活の質を低下させやすい部位とする箇所の乾癬症状も改善した。最も頻度の高い副作用は、いずれも患者の5%以上に発現した上気道感染(10.1%)、鼻咽頭炎(6.2%)、ざ瘡(6.5%)で、武田薬品工業は新たな安全性シグナルは確認されなかったとしている。
同薬は、ヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーに属する酵素チロシンキナーゼ2(TYK2)を阻害する1日1回投与の経口薬である。武田薬品工業によると、実験室での検証でザソシチニブはJAK1、JAK2、JAK3と比べてTYK2への選択性が100万倍以上高いことが判明しており、これによりJAK阻害全般に伴う心血管系や血液系のリスクを抑えられるとしている。
欧州医薬品庁(EMA)も別途、同じ適応症に関する武田薬品工業の販売承認申請を受理し、独自の審査を開始している。同社はザソシチニブについて、乾癬性関節炎を対象とした第3相試験や、クローン病、潰瘍性大腸炎、尋常性白斑、化膿性汗腺炎を対象とした第2相試験も実施しており、米国での承認が実現すれば乾癬にとどまらない意味を持つことになる。
武田薬品工業は、今回の申請自体は2027年3月期の業績予想に重要な影響を与えないとしている。同社は世界の乾癬患者数を6640万人とし、そのうち80~90%がザソシチニブの対象となる尋常性乾癬(プラーク乾癬)であるとしている。投資家が注目する舞台は、いまや研究室から規制当局へと移った。
