サンバイオの外傷性脳損傷後の慢性期運動麻痺を対象とする新発売の再生医療等製品が、1回の治療あたり7270万円の価格で5月に日本国内で発売された。発売から4カ月が経過した現在、同社自身のガイダンスによれば、この治療薬はまだ1人の患者にも投与されていない。サンバイオは、北海道、東京、横浜市、大阪、岡山の5大学を中心とする8つの病院で、1月の今期末までにわずか6例を目標としている。(サンバイオのSB623治療、7200万円で市場投入も売上はゼロのまま)
東証上場の同社が9月17日に発表した上半期決算では、同薬による売上高が依然としてゼロであることが確認された。研究開発費は、その大半が同治療薬の製造に関連するもので、上半期で12億3000万円となり、前年同期の13億5000万円から減少した。営業損失は19億1000万円と、前年同期の18億9000万円からわずかに拡大した一方、上半期純損失は17億9000万円と、前年同期の20億円から縮小した。現金及び預金は上半期で23億4000万円減少し、127億5000万円となった。通期純損失予想は51億3000万円としている。
| 項目 | 前年上半期 | 当期上半期 | 通期予想 |
|---|---|---|---|
| 営業損失 | ¥1.89bn | ¥1.91bn | ¥5.23bn |
| 研究開発費 | ¥1.35bn | ¥1.23bn | ¥4.11bn |
| 純損失 | ¥2.00bn | ¥1.79bn | ¥5.13bn |
症例数の背景には、サンバイオが日本国内を中心にサプライチェーンを再構築している事情がある。Minaris Advanced Therapiesは、カリフォルニア州マウンテンビューの拠点を閉鎖した後、上流工程の製造を横浜工場に移管している。また、サンバイオは商業生産規模での製造を見据え、JCRファーマとの間で試験製造契約を締結した。経営陣はこれを、将来的な米国展開に向けて日本を同社の製造拠点とする取り組みと位置付けている。
臨床面では、米食品医薬品局(FDA)が外傷性脳損傷の適応症に関する第3相試験デザインについてサンバイオと合意しており、同社は来年の試験開始に向けて準備を進めている。慢性期脳梗塞および脳出血を対象とする別のプログラムはより初期段階にあり、サンバイオは医薬品医療機器総合機構(PMDA)との間で試験デザインについて今後協議する予定だ。
価格が設定され承認された治療薬と、実際の患者投与との間のギャップこそ、投資家が注視している点だ。サンバイオの有効性データは、第2相のTBI-01試験によるもので、細胞治療を受けた患者は偽手術群と比較して24週時点の運動機能に統計学的に有意な改善が認められ(p=0.0401)、これが2024年の条件付き承認の根拠となった。この臨床成果が今期中に実際の症例につながるかどうかは、対象となる8病院での受け入れ体制の整備完了と、サンバイオが再構築したサプライチェーンが患者の手術予定日に細胞を確実に届けられるかにかかっている。
