本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

記事

クオンタムソリューションズ、未締結のルービン・テックGPU計画を撤回し関東取引先と6100万ドルの契約へ

クオンタムソリューションズは計画していたGPUサーバーについて、ルービン・テックとの契約も1円の支払いも一切行っていなかったと判明。大阪のAIデータセンター向けにサーバー台数をほぼ4倍に増やすため、社名非公表の関東の取引先に6099万ドルを投じることを決定。資金の一部は、自社の財務内容を開示しない香港株主からの260万ドルの融資で調達する

2026年9月9日3分で読めるクオンタムソリューションズ2338
建設途中のデータセンターホールを描いたイラスト。片側にはGPUサーバーラックが並び、もう片側には電源・冷却用の配管が通った空のラックスペースが機器の増設を待っている。

クオンタムソリューションズ(東証:2338)は2026年9月9日、第三者割当による株式発行で得た資金4億7500万円の払込を8月から9月に延期すると株主に説明した。開示文書の注記のように見えるが、その裏には同社のAIデータセンター事業参入の道筋を全面的に書き換える内容が隠されている。

同社は米国の提携先ルービン・テック(Rubin Tech Inc.)を通じて、NVIDIA製B300 GPUサーバーを最大32台調達する計画を立て、調達面をルービン・テックに依存していた。クオンタムソリューションズは現在、ルービン・テックとの間で販売契約や購入注文書、その他のGPU購入契約を一度も締結していなかったと明確に述べている。以前示されていたサーバー予想コストの20%に相当する6億7600万円の前払金も、あくまで計画上の見積りであって契約上の債務ではなく、実際に資金が動いたことは一度もなかった。

その計画は白紙となった。2026年9月7日、取締役会は関東地方を拠点とする社名非公表のAIインフラ企業との間で、最新世代の高密度GPUサーバーおよび関連機器の第1弾を6098万5056ドル(1ドル155.97円換算で約95.1億円)で購入する契約を締結することを決議した。払込時期を変更した4億7500万円は、実在しなかったルービン・テックへの前払金の代わりに、この新契約に基づく初回支払いの一部に充てられる。

旧GPU計画と変更後のGPU計画
数値は2026年9月9日にクオンタムソリューションズが開示した内容に基づく。契約金額は1ドル=155.97円で換算。
項目従来計画(ルービン・テック)変更後の計画(関東の取引先)
計画GPUサーバー台数最大32台(NVIDIA B300)最新世代GPUサーバー約128台
調達先ルービン・テック(米国)関東地方拠点の社名非公表AIインフラ企業
契約状況購入契約・購入注文書・前払いのいずれも一度もなし2026年9月7日に購入契約締結
契約金額前払金6億7600万円は計画上の見積りのみで、実際の支払いはなし6098万5056ドル(約95.1億円)
初回分割金支払いなし830万ドル(約12.95億円)、2026年9月9日時点で未払い

サーバー台数がほぼ4倍に増えた理由は、不動産面の計算にある。クオンタムソリューションズはテルストラ・ジャパン(Telstra Japan Co., Ltd.)を通じて大阪府内のデータセンター容量について交渉を進めており、第1段階の約3MW分の容量に対する優先交渉権を得るため、既に220万2864ドルの預託金を全額支払っている。現地の設備計画に関する協議では、当該施設の容量は約1MW単位で構成され、各ブロックには最新世代GPUサーバーが約64台設置できることが判明した。サーバーを32台しか設置しなければ、支払済みの電力とフロア面積が使われないまま残ってしまう。同社は現在、この容量のうち約2MW分について交渉を進めており、これを効率的に使うにはサーバーが約128台必要となる。残る1MW分については交渉が続いている。

新契約に基づく資金はいまだ一切動いていない。クオンタムソリューションズによると、新たな取引先に支払うべき初回分割金830万ドル(約12.95億円)は9月9日時点で未払いだという。これとは別に、2026年8月24日発行の第16回新株予約権の行使により得られる見込みの9.85億円は、10月以降のAIデータセンター建設費に充当される予定だが、その大部分はまだ調達されていない。

資金調達の内容は一段と場当たり的になっている。同日、取締役会は香港企業のブラックウェル・クラウド(Blackwell Cloud Co., Limited)から260万ドル(1ドル153.34円換算で約3.99億円)を借り入れることを決議した。同社は8月24日の株式割当によりクオンタムソリューションズの株主となり、現在404万6000株と8万2140個の新株予約権を保有している。この融資は年率2.5%、無担保で、返済期限は2027年12月31日とされ、調達資金は大阪のGPU事業立ち上げに充てられる。借主となる主体は、取り決めが最初に発表されてからわずか2日後に、完全子会社から親会社自身へと変更された。ブラックウェルは2024年の設立以来、資本金がわずか1万香港ドルにとどまり、開示資料では代表者、主要株主、財務諸表のいずれも開示していない。

ルービン・テックについては、クオンタムソリューションズは同社から別途借り入れていた150万ドルを全額返済済みで、9月9日時点でGPUコンピューティングリソースの利用に関する基本合意書や顧客契約は両社間に存在しないとしている。ただし、将来的な商業関係の可能性は排除していない。同社は、今回の払込時期変更自体が2027年2月期の業績に影響を与えることはないとの見通しを示している。