日本政府の基金の下で活動する4社連合が、石油化学コンビナート内の主要なCO2排出源の一つであるナフサ分解炉で、新たに開発したアンモニア燃焼バーナーを用いた試験を実施した。同炉は熱量ベースで投入熱量の85%をアンモニアで賄い、参加各社が世界最高水準と呼ぶ数値を達成した一方、窒素酸化物(NOx)排出量は既存の炉と同水準にとどまった。
NEDOが三井化学、丸善石油化学、東洋エンジニアリング、双日マシナリーとともに進める同プロジェクトでは、炉のバーナーを2つの役割に分けた。炉の熱量の大部分を供給する床バーナーは100%アンモニアで燃焼させた。炎の形状を整え炉内の温度を均一に保つ役割を担う壁バーナーは、副生メタンを主成分とする従来のオフガスで運転を続けた。この組み合わせにより、炉全体で85%という数値が生まれた。熱負荷が最も大きい部分では完全アンモニア燃焼を、それ以外の部分ではメタンを用いる形だ。
技術的な課題は容易ではない。アンモニアはメタンに比べて燃焼速度が遅く、燃料由来のNOxを発生させるため、バーナー設計には安定した火炎の維持、ナフサをエチレンとプロピレンに分解する反応管への十分な熱供給、NOx抑制を同時に成立させることが求められる。ナフサ分解炉は石油化学コンビナート内で単一のCO2排出源として最大級であり、アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しないため、燃料をオフガスからアンモニアへ転換することは、プラント本来の化学反応を変えることなくエチレン・プロピレン製造における燃焼由来排出を削減する数少ない手段となる。
この取り組みは、NEDOのグリーンイノベーション基金事業のうちプラスチック関連CO2技術に関するプログラムに位置付けられ、2021年度から2030年度までの実施が予定されている。世界最高水準とする評価は、参加4社による比較に基づくもので、2026年8月時点のものであり、対象は商用炉ではなく試験炉である。
次の段階では壁バーナーもアンモニア化し、現在の混合構成ではなく炉全体を100%アンモニアで運転することを目指す。同連合はまた、商用規模のナフサ分解炉への適用に向けた技術開発と実証にも取り組む方針で、石油化学産業の脱炭素化とエチレン・プロピレンなど基礎化学品の安定供給の両立につなげたい考えだ。
