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きらやか銀行180億円計画、審査会が承認も疑問残る

きらやか銀行が国内初のコロナ特例条項を活用し、180億円の公的資金導入計画は審査会の承認を得た。ただし、有価証券収入の減少や取引先1社の破綻も一因となった損失をコロナ関連として扱う根拠には、委員から疑問の声も上がった。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月28日3分で読める
銀行金庫の棚のほとんどを債券証書が埋め、新たな資本注入用の帳簿引き出しが記されている様子を描いた編集用イラストで、集中した有価証券ポートフォリオと流入する公的資金を象徴している。

金融機能強化審査会は2023年8月、180億円の公的資金申請を柱とするきらやか銀行の経営強化計画を承認した。金融機関がコロナ特例条項(金融機能強化法)を適用するのは今回が初めてで、金融庁が今月、3年後に議事録を公表するとの規定に基づき公開した審査会議事録で明らかになった。株式引受けの可否については、大臣が別途判断することになっていた。きらやか銀行にとっては2011年の震災特例による資本増強以来3度目の公的資金申請であり、審査会委員は申請の前提に異論を唱えた上で承認に至った。

きらやか銀行のコロナ特例申請を数字で見る
きらやか銀行およびじもとホールディングス経営陣が2023年8月30日、金融機能強化審査会に提示した数値。
項目数値
純損失(2023年3月期、きらやか銀行)¥8.3bn
有価証券含み損¥17.6bn
SBI関連証券・投資信託2371億円のうち1740億円(約74%)
公的資金申請額(コロナ特例)¥18bn
コロナ関連与信関係費用(過去3年実績+今後10年見積り)¥18.2bn
じもとホールディングスが受け入れを目指すSBI追加出資約20億円

180億円申請の内訳

きらやか銀行頭取(じもとホールディングス会長を兼任)は審査会で、過去3年間に133億円の与信関係費用を計上し、うち53億円は新型コロナウイルスの影響を受けた取引先向けで、その多くが山形県内の温泉旅館や飲食店だったと説明した。今後10年間を見通すと、与信関係費用はさらに234億円発生すると見積もり、うち129億円がコロナ関連だとした。コロナに特定した2つの数字を合計すると182億円となり、申請額の180億円とほぼ一致する。この試算は、より難しい問いへの同行の回答でもあった。2023年3月期に計上した過去最大の83億円の純損失には、有価証券利息配当金の減少や、大口取引先1社の突発的な破綻に伴う引当金も影響しており、コロナ影響先向けの予防的引当金だけが要因ではなかったからだ。審査会委員は、こうした他の要因が混在する損失をコロナ特例でどこまでカバーすべきかと質問した。

有価証券運用、主導権は誰に

審査会委員は第2の論点でさらに踏み込んだ。きらやか銀行が保有する2371億円の有価証券のうち、SBI関連の証券・投資信託が約1740億円、比率にして約74%を占める。きらやか銀行頭取は審査会で、その大半は米国地方債、カナダ州債、デンマークのカバードボンド、米国・オーストラリアの円債スワップなど信用リスクの低い商品だと説明した。SBIはじもとホールディングスに社外役員を派遣しており、この社外役員はきらやか銀行の非常勤取締役も兼ねている。じもとホールディングスは、SBIからさらに約20億円の追加出資を受け入れる方向で手続きを進めていると説明した。委員の一人は、SBIという名前だけで行内がその商品に異論を唱えにくくなっているのではないかと指摘した。じもとホールディングス社長は、個別の証券選定は社外取締役から遮断されており、実際にSBI側が提案した商品を否決した事例もあると答えた。

承認、なお懸念残る

審査会はモラルハザードへの懸念を指摘し、新たな損失限度額だけでなく銀行のリスク文化そのものが実際に変わるかどうかを金融庁に監視するよう求めた上で、きらやか銀行の新たな経営強化計画と仙台銀行の従来の経営強化計画の変更を全会一致で承認した。2023年3月末時点で、きらやか銀行の従業員数は729人、自己資本比率は7.66%だった。頭取はまた、店舗数を2021年3月末の59店舗から2023年3月末には47店舗に減らし、同年9月にはさらに39店舗まで削減する予定だと説明し、これに伴う預金の流出は想定を上回ったと述べた。同行は山形県内や東北の他行と手数料無料のATM相互開放を長年続けている。Tokyo Briefは別途、グループが抱える公的資金返済期限の長期化について報じている。