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金融庁、AIエージェント時代へ決済基盤刷新フォーラム始動

金融庁は、24時間稼働できない決済システムは海外基盤への依存を深めるリスクがあると警告している。新設フォーラムは、ステーブルコインやトークン化、AI時代の監督に関する中間整理を2027年初めまでにまとめる必要があるとした。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月28日3分で読める
デジタル決済台帳のブロックが銀行窓口と中央決済ノードの間をデータ回線に沿って流れる様子を描いたイラストで、24時間稼働するオンチェーン決済インフラを象徴する

金融庁は、AIエージェントが人間だけでなく取引の主体となる経済に向けて決済インフラを見直すことを目指す新たな省庁横断フォーラムの初会合を2026年9月30日に開催する予定だ。「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」と名付けられたこの会議体は、金融庁と関係省庁が参加し、金融庁が2026年7月21日に示した「成長投資を促進するための金融戦略」で初めて打ち出されたイニシアティブに基づくものだ。

金融庁の狙いは明快だ。同庁が「エージェンティックコマース」と呼ぶ時代には、AIエージェントが言語や時差に関係なく24時間365日取引を行うようになるため、決済システムも24時間稼働し、商流・物流データとプログラムを通じて連携し、決済基盤として信頼される安定性を備える必要がある。金融庁は、日本の決済基盤がこの水準に対応できなければ、海外の決済基盤への依存が強まり、国の競争力低下や経済安全保障上のリスクの高まりにつながると警告する。同庁が示す答えは、ブロックチェーンを基盤とする「オンチェーン金融」と既存のオフチェーン金融システムを組み合わせることであり、一方が他方を全面的に置き換えるものではない。

フォーラムの検討は3つの柱に分かれる。

フォーラムの3つの検討課題
金融庁「成長投資を促進するための金融戦略」(2026年7月)より
柱内容
オンチェーン金融の社会実装官民連携のロードマップ、決済高度化プロジェクトの拡大、新たな決済システム、ステーブルコインの国際的な相互運用性に関する協議、アジア決済対話、日銀当座預金のオンチェーン対応
環境整備ステーブルコインの裏付け資産ルールの見直し、分散型取引所・分散型金融・ウォレット提供業者のリスク低減策、様々な資産のトークン化に関する制度枠組み
AI・量子技術への対応市場・金融機関へのAI浸透に応じた監督の在り方、検証可能な資格情報などの本人確認基盤、量子コンピュータによるブロックチェーン暗号技術の危殆化リスク

決済分野では、金融庁はオンチェーン金融に関する官民連携のロードマップ策定、貿易決済を含む新たな用途への決済高度化プロジェクト(PIP)の継続的な拡大、円建てステーブルコインが他通貨建てステーブルコインと併存できるようにするための裏付け資産や償還ルールに関する国際的な連携を求めている。アジアを対象とした新たなクロスボーダー決済に関する官民政策対話の創設も計画に含まれる。これとは別に、成長戦略は日本銀行に対し、日銀当座預金のオンチェーン対応に関する考え方と実装に向けた道筋を年内に取りまとめるよう求めている。

より難しい制度上の論点は2つの専門研究会が担う。一つはステーブルコインの裏付け資産に関するルール、分散型取引所(DEX)や分散型金融(DeFi)、ウォレット提供業者のリスク、様々な資産のトークン化を扱う。もう一つはAIの活用が広がる中での市場・金融機関の監督の在り方、検証可能な資格情報(VC)などの本人確認手段、そしてブロックチェーンの暗号技術が量子コンピュータによっていずれ危殆化するリスクを扱う。財務省は別途、投資家が国債の元利払いをオンチェーンで受け取れるようにするかを検討しており、デジタル庁はステーブルコインやトークン化預金を公金給付に活用できるかを検討している。

金融庁はフォーラムの検討について2027年初めまでに中間整理をまとめたい考えで、関係省庁と連携しながら民間の資金決済全般のルール作りで主導的役割を果たせるよう、自らの組織拡充も別途検討している。初回会合は東京の中央合同庁舎第7号館の共用会議室で開催予定で、一般傍聴は受け付けない。同庁は会議後、議事概要をウェブサイトで公表するとしている。ステーブルコインの裏付け資産、DeFiの監督、日本の決済システムのどこまでをオンチェーンに移行するかといった実質的な議論はこれからだ。