政府は欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)に対し、非EU企業向けのサステナビリティ報告基準案を適用しやすい内容とするよう求めた。EFRAGが2026年7月23日に公表した公開草案「ESRS-40a」について、同年10月28日付のコメントレターで2点の要望を提示した。金融庁が10月30日に発表した。
2つの要望
1点目は相互参照に関するものだ。公開草案では、ISSB基準と機能的に整合した法域の規則に基づき報告を行う企業に対し、ESRS-40aに基づく報告書の中でその報告書を参照することを認めている。コメントレターは、ISSB基準と類似しているものの同一ではない開示要求に企業がどう対応すべきか明確にするようEFRAGに要請。ISSB基準に対するESRS-40a固有の「上乗せ(トップアップ)」項目を一覧にした付録を設けることを提案し、企業が自らこれらを特定するのは「極めて困難」としている。
2点目は、気候関連以外のトピック別基準で選択肢とされている公開草案の「ミックスド・アプローチ」に関するものだ。この手法では、報告範囲をEU市場で販売される製品・サービスから生じるインパクトおよびEU域内での事業活動に伴うインパクトに限定できる。企業側は政府に対し、この適用準備には多大な時間を要し、2028年からの順守は不可能だと伝えた。コメントレターは、同一法人内でEU向けと非EU向けの売上高の間でインパクトを按分することが大きな難題だとしている。
代替案
政府はグループ各社を、EU域内に所在する企業、EU域外に所在するがEU市場で製品を製造またはサービスを提供する企業、EU域外に所在しそうした活動を行わない企業の3区分に分類する案を提示した。親会社は最初の2区分のインパクトを報告する。第2区分の企業にはEU域外のインパクトが一部含まれる場合もある。コメントレターは、この方法により按分作業を回避しつつ、EU関連のインパクトをすべて把握できるとしている。また、EU向けの比率が極めて小さい企業が第2区分と第3区分のどちらに該当するかは、一般的な重要性の原則に基づいて判断すべきだとしている。
負担を巡る主張
コメントレターによると、EU企業はESRSのみに基づき報告を行う一方、CSRD第40a条の対象となる日本企業は、国内規制対応としてISSB基準に準拠した報告書、欧州対応としてESRS-40aに基づく報告書の2つを作成しなければならない。コメントレターはこれを追加的な負担と位置づけ、公平な競争条件の確保を求めている。また、ESRS-40aがまだ最終化されていないにもかかわらず、第40a条の適用開始が2028年と発表されており、準備期間がほとんど残されていないとも指摘している。これらは政府自身の見解として記されている。
コメントレターは、公開草案におけるISSB基準の活用とミックスド・アプローチを歓迎しており、対象となる見込みの日本企業との対話で提起された懸念を反映したものだとしている。これは公開草案に対する意見書であり、EUの要求事項を変更するものではない。
