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政策ウォッチ

政府のヒトゲノム編集胚指針案、研究期間14日上限・用途4分野に限定

政府の指針案はヒトゲノム編集胚の取扱いを4つの研究用途に限定し、取扱期間を14日以内とするほか、倫理審査を義務付け輸出入も制限する。2027年7月24日の施行に向け、11月28日まで意見を募る。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月2日4分で読める
ガラスの仕切りの奥に置かれた密閉培養皿と、最後の区画が遮断された14区画のタイムラインを並べ、胚研究の期間制限と承認手続きを示唆するイラスト。

こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省は2026年10月30日、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する指針案について意見公募(パブリックコメント)を開始した。締め切りは11月28日。同案はヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律(2026年法律第70号)第4条に基づく。政府の概要資料によると、同法は2026年7月24日に公布されており、1年後の2027年7月24日に施行される。現時点で発効している規定はない。

研究用途は4分野に限定

指針案は、ヒトゲノム編集胚や生殖細胞の取扱いを、次の4分野のいずれかにおいて科学的合理性と意義がある研究に限り認めている。

  • 受精、胚の発生・発育および着床、生殖細胞および胚の保存など、生殖補助医療の向上に資する研究
  • ミトコンドリア病を含む遺伝性または先天性疾患の研究のうち、胚の作成時に卵子間核置換技術を用いるもの
  • 幹細胞由来生殖細胞による受精が正常か、または受精後の胚が通常の胚と同様に発生するかを確かめる研究
  • ヒトゲノム編集生殖細胞を作成し、受精させずに取り扱う研究のうち、発生の解明や、診断法・予防法・治療法または医薬品等の開発を目指すもの

胚の取扱制限と同意取得

提供を受ける胚は、滅失させることについて提供者の意思が確認されたものでなければならない。形態学的異常により生殖補助医療に用いられる可能性がない場合を除き凍結保存されたものである必要があり、かつ凍結期間を除き受精後14日以内でなければならない。採取や提供に要する通信費や交通費などの実費を除き、提供者に対価を支払ってはならない。

ゲノム編集胚の取扱期間は、作成から原始線条が現れるまでとする。作成から14日以内に原始線条が現れない場合は取扱いを終了しなければならず、凍結保存期間は日数に算入しない。取り扱う胚の数は必要最小限にとどめる。

同意は原則として書面で取得するが、本人確認を適切に行い、提供者が質問できる機会を確保する場合は電磁的方法も認める。胚の提供者には、同意取得後少なくとも30日間は胚が保存されること、および夫婦のいずれからでも同意を撤回できることを説明しなければならない。未成年者その他同意能力を欠く者に胚や生殖細胞の提供を依頼してはならない。

指針案は臨床利用には道を開いていない。提供者には、ゲノム編集胚を人や動物の胎内に移植しないことを説明する必要がある。研究者は、胎内移植が可能な設備を備えた室内でゲノム編集胚を取り扱ってはならない。ただし例外として、承認された計画に基づき動物の胎内に移植するゲノム編集生殖細胞を、人への移植に使用できない室内で取り扱うことは認められる。

審査体制と譲渡・輸出入の規制

すべての計画は、5人以上で構成する倫理審査委員会の審査を受ける。委員には生物学の専門家、生殖医学の専門家(胚を取り扱わない場合は医療の専門家)、生命倫理の専門家、法律の専門家その他人文・社会科学の有識者、一般の立場の者が含まれる。胚を扱う研究ではゲノム編集の専門家も必要となる。委員のうち2人以上は研究者の所属機関や提供機関の外部の者とし、男女それぞれ2人以上を含めなければならない。議事録は知的財産権や個人情報の保護に支障が生じるおそれがある場合を除き公開する。胚を扱う研究には少なくとも1人の医師が参画する必要がある。研究者は年次進捗報告を委員会と主務大臣に提出しなければならず、研究終了時または取扱期間満了時には直ちに胚を廃棄しなければならない。

研究者間の譲渡および輸入は、運送費その他必要な経費を除き無償でなければならない。輸入者は、相手国の規則に基づき適切に取り扱われたことを確認する必要がある。輸出者は、再譲渡の禁止、使用後の廃棄、および指針案の使用要件に準じた規則の適用を定める契約その他の措置を講じなければならない。

関連政省令案と今後の日程

施行令案は、ゲノム編集技術等の範囲、胎盤形成が開始する可能性がない動物の胎内への移植を認める要件、および基礎的研究の用途を定めるもので、2027年3月の公布を予定する。施行規則案は9つの技術区分を追加し、届出事項を規定するほか、譲渡、輸出、廃棄または滅失から5年間の記録保存を義務付ける。動物の胎内に移植されたゲノム編集未受精卵については、受精可能期間を精子は14日間、未受精卵は10日間と定める。

文科省は、既存の胚、ES細胞、iPS細胞に関する指針を改正または廃止する6件の告示案についても別途意見公募を実施している。期限は2026年11月30日。指針案の経過措置規定では、旧指針下で届出済みの研究が法附則に基づき主務大臣への経過措置の届出を行う場合、第19条から第21条までの3条項(機関の長の責務、倫理審査、計画書作成に関する規定)を適用除外とする。

意見公募と施行日程の一覧
日程は意見公募の公示および概要資料の記載に基づく。政令および省令の公布時期は予定であり、確定していない。
対象法令・指針意見募集期限公布・告示予定施行日
ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する指針案2026年11月28日2027年(案文では月日空欄)2027年7月24日(法の施行日)
施行令案2026年11月28日2027年3月(予定)2027年7月24日
施行規則案2026年11月28日2027年3月下旬(予定)2027年7月24日
文部科学省の関係指針改正等(6告示)2026年11月30日公示資料に記載なし公示資料に記載なし