ispaceの取締役会は9月9日、静岡銀行から30億円を借り入れることを決議した。無担保・無保証で期間3年の融資で、ミッション開発関連費用等の運転資金に充てる。金利は基準金利にスプレッドを上乗せした変動金利で、スプレッド自体は開示されていない。契約締結と資金の払い込みはいずれも今月中に予定されており、元金は分割返済ではなく、3年後に一括返済する。
今回の借入には、ispaceが毎期末に満たすべき財務制限条項が2つ付されている。第一に、連結貸借対照表上の純資産を正の値に保つこと。第二に、連結の現金及び預金の合計額を30億円以上に維持すること。これは借入額そのものと同額であり、実質的に静岡銀行は、借り入れた資金と同額の現金を手元に残しておくことをispaceに求めていることになる。使途に充てる余裕資金というより、下限を課すものだ。
東京証券取引所グロース市場に銘柄コード9348で上場するispaceは、今回の借入が2027年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微であるとし、その見通しに変更が生じた場合は速やかに開示するとしている。
開示されていない事項も、開示された事項と同じくらい示唆に富むと言えるかもしれない。金利のスプレッドは明かされておらず、資金使途も「ミッション開発」以上の具体的な名称は示されていない。また30億円がispaceの既存の手元資金と比べてどの程度の規模なのかも分からない。とはいえ、無担保で30億円を貸し出す銀行が存在すること自体が一つの材料であり、たとえ条件が借り手を厳しく縛るものであっても、その点は変わらない。
