東京証券取引所プライム市場に上場する衣料品ディスカウントチェーンのしまむら(コード8227)は9月7日、取締役会が前日、別の小売業者が運営する21店舗の資産と出店権をアパレル事業として取得し、しまむらの店舗として再開する方針を決議したと同取引所に開示した。
譲渡元は東京都杉並区に本社を置くスーパーマーケットチェーンで、資本金は39億2000万円、1963年7月に設立された。住友商事が全株式を保有する完全子会社である。しまむらと譲渡元は、取締役会の承認と同日に事業譲渡契約を締結した。
しまむらが買うもの、買わないもの
今回の取引の対象は、21店舗の運営に必要な事業用資産の一部と、店舗の開設・使用にかかる権利にとどまる。しまむらは、譲渡元の債権・債務や、既存の取引先との契約、管理業務上の地位については原則として承継しないとしている。この構造により、今回の取引は負債を含む事業全体の買収というより、不動産と客足を取得する取引に近いものとなっている。
両社は、譲渡価格、決済方法、譲渡対象資産の価額、対象店舗の業績について、両者間の合意により非公開とするとして開示していない。
スケジュールと条件
引き渡しは2027年1月から店舗ごとに順次開始し、2027年3月までの完了を目指す。取引の完了は公正取引委員会への届出やその他の法定手続き・承認の完了が前提となるため、規制上の許可取得に想定より時間がかかれば、段階的な移行スケジュールが後ろ倒しになる可能性がある。
しまむらは、今回の取引が東京証券取引所が定める事業譲渡の開示義務基準に達していないとし、自主的に開示するものであるため一部の詳細を省略しているとした。また、今回の取得が2027年2月期の連結業績に与える影響は軽微にとどまる見通しであるとし、この見通しに変更が生じた場合は改めて開示するとしている。
規模と低コストの不動産で成長してきたチェーンにとって、取引先との関係や偶発債務を引き継がずに21店舗の既存店舗をそのまま獲得できるのは、店舗網を拡大する上で割安な手段といえる。外部の読者にとっての注意点は、価格も各店舗の実際の売上規模も公表されていないことだ。そのため、しまむらが割安に取得したのか、単に選択肢を買っただけなのかを判断する材料は現時点では存在しない。
