建設機械レンタルを主力事業とするカナモトの9カ月間の売上高は2.6%増の1629億円にとどまったが、営業利益は31.6%増の154億円、親会社株主に帰属する純利益は39.1%増の101億円となった。利益成長率は売上高の10倍以上に達しており、これが平凡に見える四半期決算に隠れた本当の注目点だ。
| 項目 | 当期 | 前年同期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥162.9bn | ¥158.8bn | +2.6% |
| 営業利益 | ¥15.4bn | ¥11.7bn | +31.6% |
| 経常利益 | ¥15.8bn | ¥12.0bn | +31.1% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | ¥10.1bn | ¥7.2bn | +39.1% |
| 1株当たり利益 | ¥292.22 | ¥206.85 | — |
この差は主力の建設機械レンタル事業によるもので、売上高は3.4%増の1462億円、セグメント利益は30.8%増の140億円となった。経営陣は、レンタル資産の稼働効率向上とレンタル料金の最適化継続に加え、DX推進による生産性向上、防災・国土強靱化関連の公共投資の堅調、物流施設やデータセンター向けの民間投資を要因として挙げている。カナモトはまた、レンタル資産の規模を量的拡大よりも計画的に管理する方針のもと、中古建設機械の販売を前年同期比1.8%減らした。
業績改善に伴い財務体質も向上し、総資産は3321億円に達し、自己資本比率は前期末の45.4%から46.4%に上昇した。カナモトは6月5日付の取締役会決議に基づき、9カ月間で自己株式200万株を消却し、資本剰余金を4億7300万円、利益剰余金を49億9000万円それぞれ減少させた。これは昨年12月以降、2度の取締役会決議に基づき80万株超を買い戻した後の措置である。中間配当は1株当たり55円に増配し、通期予想は前期実績の95円から110円に引き上げられている。ただし通期業績予想自体、売上高2210億円、純利益129億円は6月1日に発表した修正から変更はなく、今回の四半期決算に伴う新たな上方修正は行われていない。
なお、連結対象については第1四半期にオーストラリアの子会社2社が清算を完了し連結対象から除外されており、事業撤退というより通常の整理にすぎない。
より大きな意味を持つ動きは決算発表と同日に明らかになった。カナモトの取締役会は9月4日、3社からなるグループの全株式を現金で取得することを決議し、取得完了は9月中を見込んでいる。買収対象の中核は、建設現場向けにユニットハウス、オフィス家具、OA機器、測量機器、仮設トイレなどをレンタル・販売する事業で、これに輸送や現場での組立・解体、保管、修理を手掛ける物流・設置子会社のTJR、および展示会などのイベント向けに大型テント、音響機器、映像機器を手配するイベントサービス子会社が加わる。買収価格は開示されていない。
カナモトによれば、今回の買収は同社の全国的なレンタル網と調達規模に、買収対象が関東地方で培ってきた顧客基盤と現場設備に関する専門知識を組み合わせるもので、建設機械そのものにとどまらない提供価値の拡大を狙う。今四半期の利益改善が成長よりも既存資産の有効活用によるものであった同社にとって、理にかなった隣接分野への展開と言える。
