カカクコム(東証:2371)の非公開化に向けて公開買付けを実施するKamgras 1株式会社は、8月28日付の訂正届出書によると、普通株式1株当たりの買付価格を3570円から3571円へとちょうど1円引き上げ、公開買付期間を2026年9月10日まで延長した。これに連動する自己株式の取得価格――非公開化により上場廃止となった後、公開買付けに応じなかった株主に対しカカクコムが後日支払う金額――も1円上昇し、2903円となった。
1円の値上げが期限をリセットする理由
取引総額に比べれば1円の引き上げは些細に見えるが、実質的な意味を持つ。日本の公開買付制度では、買付期間中に価格を変更する届出を提出すると、訂正届出書の提出日から10営業日の延長が義務付けられる。Kamgras 1が8月27日に訂正届出書を提出したため、期限はその日から9月10日へと移動し、公開買付期間は合計85営業日に及び、法定最低期間である20営業日の4倍以上となった。
| 改定日 | 公開買付価格(1株当たり) | 自己株式取得価格(1株当たり) | 新たな買付期限 | 総営業日数 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年8月13日 | ¥3,570 | ¥2,902 | August 27, 2026 | 75 |
| 2026年8月27日 | ¥3,571 | ¥2,903 | September 10, 2026 | 85 |
今月に入って同様の引き上げは2回目となる。Kamgras 1は8月13日に買付価格を3450円から3570円へ引き上げ、期限を8月17日から8月27日へ延長した後、8月27日に今回の1円の追加引き上げを行った。
対抗陣営の応募契約が失効
度重なる引き上げの背景には、Bain Capital Private Equity, LPが助言するファンドが組成した買収主体であるBCPE Blitz Cayman, L.P.による対抗提案があり、LINEヤフー株式会社からの間接出資も見込まれている。8月19日時点で、ベインキャピタルはカカクコムに対し、当時8月27日を期限としていた公開買付期間中に自社提案を引き上げる予定はないと伝えていた。
これとは別に、ベインキャピタルの買収主体と株主オアシスとの間の応募契約は、両者間の合意に組み込まれていた、対抗する高値提案に合わせて価格を引き上げる5営業日のオプションをベインが行使しなかったため、8月20日に失効した。これにより、オアシスはベインキャピタルの公開買付けに応募する義務を負わなくなったが、届出書によれば、オアシスとの協議――Kamgras 1の公開買付けへの応募を求める可能性を含む――は継続中であり、何も決定していないとしている。
変わっていない点
非公開化取引を検討するために設置されたカカクコムの特別委員会は、その判断内容を変更しておらず、株主が応募するか否かを自ら判断できるとする取締役会の見解も7月2日の表明どおり変わっていない。3571円という買付価格は、5月の取引発表前日の終値2774円に対して28.73%、4月に買収観測が浮上する前の株価2121円に対して68.36%のプレミアムとなる。Kamgras 1を支えるコンソーシアムには、プライベートエクイティ企業のEQTに加え、株主であるDGとKDDIが名を連ねており、両社とも保有株式を応募しないことに合意し、自己株式取得の対価の一部を買収主体の親会社に再出資する見込みだ。これとは別の手続き変更により、株式併合の完了に必要な臨時株主総会は10月中旬から10月下旬に延期された。
