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ANYCOLOR、売上増でも大型イベントが利益を圧迫

ANYCOLORは7月期に「にじさんじ」関連売上高を5.4%伸ばしたが、イベント開催の増加でコストが膨らみ営業利益は8.8%減、利益率も6ポイント低下。通期でも減益見通しを維持し、配当は75円から62円に引き下げる。

2026年9月9日2分で読めるANYCOLOR5032
モニターに売上高と利益率のグラフを映すライブ配信制作の副調整卓と、グッズの箱、イベントパスを描き、メディア企業の増収と利益率縮小を表現したイラスト。

ANYCOLORは、VTuberフランチャイズ「にじさんじ」を展開する企業で、2026年7月期第1四半期の売上高は前年同期比5.4%増の166億2000万円だった。営業利益はこれとは対照的に8.8%減の63億9000万円、純利益は10.6%減の43億7000万円となった。売上高が増加した一方で売上総利益は80億円から74億7000万円に減少し、営業利益率は6ポイント低下して38.5%となった。

増収と減益の乖離は、成長の中身に起因する。ANYCOLOR最大のセグメントであるコマース事業の売上高は114億1000万円となり、音楽CDの販売が予想を上回って好調だったことから、同社自身の計画である108億円を上回った。イベント事業の売上高も計画を上回る17億1000万円に達し、「にじさんじフェス2026」や複数のVTuberソロコンサートが会社の想定を超える反響を呼んだが、前年同期の21億2000万円は下回った。プロモーション事業の売上高は7月にタイアップ企画の一部が延期されたにもかかわらず、計画に近い20億5000万円となり、ライブ配信事業の売上高は14億4000万円で横ばいだった。

ANYCOLOR 第1四半期の事業別売上高
ANYCOLORの2027年4月期第1四半期決算説明資料の数値。金額は百万円単位で、2026年7月期第1四半期と2025年7月期第1四半期を比較している。
セグメント2026年7月期第1四半期(百万円)2025年7月期第1四半期(百万円)
ライブ配信1,4441,385
コマース11,41310,394
イベント1,7072,117
プロモーション2,0521,866
その他47

こうした好調には代償も伴った。VTuberへの報酬、プラットフォーム手数料、グッズおよびイベント制作費用を含む直接変動費率は、売上高比で前年同期の44.1%から49.0%に上昇した。同社はこの4.9ポイントの上昇を、イベント規模拡大の影響によるものとしている。棚卸資産評価損は約4億6000万円で、ほぼ計画通りだった。

経営陣は2027年4月期の通期業績予想を据え置いた。売上高は560億円から600億円、営業利益は180億円から200億円とし、同社自身の説明によれば、この予想レンジは営業利益が最大10.8%減、最小でも0.9%減となることを意味し、純利益は2.8%減から12.5%減の範囲になるという。通期配当予想は1株当たり62円で、2026年4月期に支払われた75円から減配となる。決算発表と同時に、ANYCOLORは発行済株式数の4.67%に当たる最大280万株、総額70億円を上限とする自己株式取得を発表した。実施期間は2026年9月10日から2027年4月30日までとしている。

利益率が圧迫される一方で、事業モデルにとって重要な指標では成長が続いた。「にじさんじ」および「NIJISANJI EN」所属のVTuber数は181人となり、前年同期から16人増加した。公式ストアやファンクラブ、イベントチケットの購入に使われるANYCOLOR IDの登録件数は19.3%増の210万6000件となった。なお、四半期財務諸表について独立監査人によるレビューは実施されていない。10月までの四半期については、経営陣は売上高150億円、営業利益56億円を見込んでおり、これは7月までの四半期の38.5%からわずかに低下するものの、ほぼ同水準となる37.3%の利益率を示唆する。