東京証券取引所プライム市場上場のスーパーマーケット運営会社ライフコーポレーションは2026年9月9日、富山県を拠点とする食品スーパーマーケットチェーン、アルビスの発行済み株式全てを対象に、1株当たり3780円で株式公開買付け(TOB)を開始した。買付期間は2026年11月10日までで、同日提出されたアルビスの意見表明報告書によると、同社取締役会は株主に応募を推奨することを全会一致で決議した。
この価格は、公表前の最終取引日である9月7日のアルビス株終値2501円に対して51.14%のプレミアムとなる。ここに至るまでには5回にわたる交渉が行われた。ライフが8月10日に提示した当初案は3330円(プレミアム34.93%)で、アルビスの独立特別委員会は、ライフ自身のアドバイザーである大和証券が算出したディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法による評価レンジが1株当たり最大4291円に達していたことを踏まえ、この価格を不十分として拒否した。その後4回の再提示を経て、両社は3780円で合意した。
| 回次 | 日付 | 提示価格 | 前日終値に対するプレミアム |
|---|---|---|---|
| 第1回提案 | 2026年8月10日 | ¥3,330 | 34.93% |
| 第2回提案 | 2026年8月17日 | ¥3,530 | 39.69% |
| 第3回提案 | 2026年8月25日 | ¥3,680 | 44.37% |
| 第4回提案 | 2026年9月1日 | ¥3,760 | 48.91% |
| 最終価格 | 2026年9月7日 | ¥3,780 | 51.14% |
アルビス自身のアドバイザーであるSMBC日興証券は、同社の株式価値をDCF法で1株当たり2311円から4148円、市場株価法で約2517円から2527円と算定しており、いずれも合意価格を下回る水準だった。ライフによると、最終的なプレミアムは2019年以降に実施された国内の類似非公開化TOB88件で記録された中央値プレミアムに近い水準だという。
今回の取引には異例の条件が付いている。アルビスの筆頭株主で同社株式の16.62%を保有する三菱商事は、保有株式をTOBに応募せず、取引完了後も株主として残ることに合意した。取引完了後、ライフが83.38%、三菱商事が16.62%を保有する見込みで、三菱商事は引き続き人材の出向や食品流通のノウハウ提供をアルビスに行う。
ライフは買付予定株数の上限を設けなかったが、下限は417万1200株(買付対象株式の49.92%)とした。この水準は恣意的なものではなく、計算された数値だ。三菱商事が保有を継続する株式とライフの既存保有分を合わせると、会社法に基づく株式併合を通じて応募しなかった株主を排除するために必要な議決権の3分の2をライフが確保できる水準となる。2027年1月下旬頃に予定されるこのスクイーズアウト手続きが完了すれば、アルビスの株主はライフと三菱商事のみとなり、同社株式は東京証券取引所への上場を廃止される見通しだ。
アルビスは株主に対し、今回の取引が成立した場合、2027年3月期の中間配当・期末配当をいずれも実施せず、株主優待制度も廃止すると説明している。ライフの届出書によれば、その事業上の狙いは単純な小売業再編にある。売上高約8813億円のライフは首都圏と関西圏を中心に322店舗を展開しており、一方のアルビスは北陸・中部地方を地盤としており、両社の店舗網は現時点で重複していない。ライフは、アルビスが子会社化された後、プライベートブランド商品、共同仕入れ、店舗運営システムを共有していく考えだ。
TOBは11月10日まで下限応募株数条件が付されており、その後の株式併合の具体的な比率はまだ決定していない。
