公正取引委員会は、長年にわたり入札談合を行っていた関東地方のマンション大規模修繕工事の施工業者らに対し総額16億4000万円の課徴金納付命令を出し、談合を主導した設計コンサル業者2社に排除措置命令を出した。
同委員会の集計では、二つの談合における違反事業者数は延べ57社だが、長谷工コーポレーションの修繕子会社を含む複数の施工業者が両方の談合で違反事業者として名指しされたため、実数では42社にとどまる。このうち、9月28日付で排除措置命令の対象となったのは実数38社、課徴金納付命令の対象となったのは実数37社だった。
いずれの談合でも、管理組合から施工業者選定の補助を委託された設計コンサル業者は、本来の役割に反し、案件ごとに施工業者1社との間で受注協力関係を築き、あらかじめ受注予定者を決め、管理組合の非公開の設計予算を当該業者に伝えていた。他の入札参加者は、受注予定者から連絡された見積価格を管理組合に提示するか、見積り合わせに参加しないかのいずれかだった。一方の談合は大阪に登録された設計コンサル業者と施工業者36社を中心に遅くとも2021年9月から、もう一方は東京に登録された設計コンサル業者と施工業者19社を中心に遅くとも2021年11月から、それぞれ行われていた。受注した施工業者は通常、契約価格の約5%に相当する金額を当該コンサル業者に支払っており、同委員会はこの慣行についても競争を歪める恐れがあるとして建設業界の3団体に別途申し入れた。
| 項目 | 大阪の設計コンサル業者による談合 | 東京の設計コンサル業者による談合 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 違反事業者数 | 37 | 20 | 延べ57社(実数42社) |
| 排除措置命令の対象事業者 | 33 | 18 | 51件(実数38社) |
| 課徴金納付命令の対象事業者 | 33 | 17 | 50件(実数37社) |
| 課徴金総額 | ¥921.6mn | ¥716.3mn | ¥1.64bn |
東証上場の長谷工コーポレーションの修繕子会社である長谷工リフォームは、両方の談合で名指しされた。同子会社の課徴金は合計3億2940万円で、課徴金減免制度により25%の減額を受けており、全50件の課徴金納付命令に共通する2027年4月30日の期限までに納付する。長谷工コーポレーションによると、同子会社は2025年3月に同委員会の立入検査を受け、以降、調査に協力してきたという。同社は、子会社の代表取締役会長が9月28日付で辞任し、社長は今月から3カ月間、月額報酬の10%を自主返納するほか、他の役職員も懲戒処分の対象になるとしている。親会社は当中間期に本件課徴金を一過性の営業外損失として計上する見込みだが、5月に公表した通期業績予想に変更はないとしている。
排除措置命令を受けた各施工業者は、談合により受注した大規模修繕工事を発注した管理組合に対して通知を行うとともに、マンション修繕工事の営業を担当する従業員に対して定期的な独占禁止法研修を実施しなければならない。二つの設計コンサル業者にも同様のコンプライアンス義務が課された。同委員会はまた、建設業界の3団体に対し、紹介料慣行に関する調査結果を会員に周知するよう要請した。
