ダイドーグループホールディングスは、トルコのインフレ率が5カ月前の想定よりも高まるとの前提を置きながらも、2027年1月期の通期利益予想を上方修正した。大阪に本社を置く自動販売機・飲料グループは、営業利益予想を18億円上方修正して123億円とし、純利益予想を10億円上方修正して60億円とした一方、売上高予想は5億円下方修正して2463億円とした。いずれの利益も、303億円の純損失を計上した2026年1月期からの大幅な回復となる見通しだ。
| 項目 | 前回予想 | 修正後予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥246.8bn | ¥246.3bn | -¥0.5bn |
| 営業利益 | ¥10.5bn | ¥12.3bn | +¥1.8bn |
| 経常利益 | ¥8.4bn | ¥9.4bn | +¥1.0bn |
| 純利益 | ¥5.0bn | ¥6.0bn | +¥1.0bn |
落とし穴は前提条件にある。ダイドーは、2026年末までのトルコのインフレ率を、3月に策定した当初計画に組み込んだ21%から28.6%に上方修正した。これに合わせて為替前提も見直し、1リラを3.20円(従来3.00円)、1ズロチを42.85円(従来39.00円)、1人民元を23.26円(従来20.00円)とした。ダイドーはトルコ子会社をIAS29号に基づく超インフレ経済下で事業を行っているとみなしているため、今回の修正予想にはこの調整が組み込まれている。同社は、この基準の適用により通期売上高を16億円押し上げる一方、営業利益を11億円、経常利益を38億円、純利益を35億円それぞれ押し下げると見込んでいる。
今回の上方修正が可能となったのは、本業の実力がこの重荷を上回ったためだ。上半期の売上高は2.0%増の1201億円、営業利益は388.2%増の67億円となり、前年同期の13.6億円の純損失から28億円の純利益に転じた。トルコの炭酸飲料と一連の価格改定が主導した海外飲料事業は、過去4年で最高の上半期実績となり、セグメント利益は68.1%増の52億円となった。国内飲料事業は売上高が5.5%減少したものの、前年の減損損失後に減価償却費が大きく減少したことと、自動販売機の販売手数料の削減、不採算機の撤去が寄与し、セグメント損失20億円から利益21億円に転じた。
IAS29号の適用により、上半期にはさらに24.7億円の損失も発生した。これは、好調な販売を背景にトルコ子会社の現金及び受取勘定が負債を上回るペースで増加したために計上された純貨幣性項目に係る損失で、超インフレ会計では急速に減価する通貨で純金銭資産を保有すること自体が損失要因となる。通期では、ダイドーは海外飲料事業の売上高を762億円、セグメント利益を92億円と見込み、いずれも当初計画の700億円・78億円を上回る。一方、国内飲料事業の売上高は当初目標の1415億円から32億円下方修正した1383億円とし、利益目標は52億円から62.5億円に上方修正した。
ダイドーは、中東情勢に関連した原材料価格の上昇や、トルコブランド強化に向けたマーケティング投資によるコスト圧力が下半期にはより重くのしかかると説明した。今回上方修正した業績予想が実現するかどうかは、1月の期末までに再び前提が変動することなく、トルコのインフレ率が実際に2026年末までに28.6%前後に落ち着くかどうかにかかっている。
