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オートバックスセブン、赤字のフランス子会社を1ユーロで売却へ 利益予想24%上方修正

同社取締役会は、前期に売上高4470万ユーロに対し490万ユーロの損失を計上したAUTOBACS FRANCEを、ミュンヘンのFairCap Holding 12 GmbHへ名目上の1ユーロで譲渡することを決議。会計上は繰延税金利益45億円と再編損失23億円が相殺され、純利益予想は112億円に引き上げられる一方、売上高・営業利益見通しは据え置かれる

2026年8月27日3分で読めるオートバックスセブン9832
自動車部品店のカウンターに置かれた1ユーロ硬貨。箱詰めされた在庫と半分下ろされたシャッターの脇にあり、名目価格での小売売却を象徴している。

オートバックスセブンの取締役会は8月27日、同社が保有するAUTOBACS FRANCE S.A.S.の株式353万株(同社の全保有株式)を、ミュンヘンを拠点とする投資会社FairCap Holding 12 GmbHに譲渡価格1ユーロで売却することを決議した。両社は同日にプットオプション契約を締結したが、正式な株式譲渡契約はAUTOBACS FRANCEが従業員代表機関との協議を完了して初めて締結できる。同社によれば、フランス法で義務付けられているこの協議には最長3カ月を要する可能性があるという。オートバックスセブンは2027年3月期第3四半期、おおむね2026年10〜12月の完了を目指している。

AUTOBACS FRANCEはフランス国内でオートバックスブランドの店舗を8店舗展開しており、ここ数年赤字が続いている。2026年3月期の12カ月間では、売上高4470万ユーロに対し純損失490万ユーロを計上した。前期は売上高4860万ユーロに対し損失230万ユーロ、前々期は売上高5390万ユーロに対し損失990万ユーロだった。純資産は2300万ユーロ、総資産は3970万ユーロだった。FairCap自体は新設の買収目的会社で、2025年12月に資本金わずか2万5000ユーロで設立され、マネージングパートナーのMax Koch-HeintzelerとJasper Delekatが運営している。

会計上の余波は、取引そのものよりも大きい

1ユーロでの売却は事業面への影響はほとんどないが、オートバックスセブンの税務会計には連鎖的な影響を及ぼす。AUTOBACS FRANCEの連結除外に伴い、関連する繰延税金資産の回収可能性を見直す必要が生じ、同社は2026年9月までの6カ月間に、繰延税金資産に係る税効果として約45億円を利益計上する見込みだ。また、同事業の清算に伴い、10〜12月期に特別損失として事業再編損失約23億円を計上する見込みである。税効果の額は再編損失を上回り、その差額はそのまま最終利益に反映される。

変わった点と変わらなかった点

連結売上高(3000億円)、営業利益(150億円)、経常利益(150億円)の通期見通しは据え置かれた。オートバックスセブンは、フランス事業を連結対象から除外してもこれらの項目への影響は軽微だとしている。一方、親会社株主に帰属する当期純利益については状況が異なる。同社は純利益予想を90億円から112億円に、22億円(24.4%)引き上げ、1株当たり利益予想も114円62銭から142円64銭に上方修正した。参考までに、2026年3月期の実績純利益は売上高2801億円に対し84億円だった。

オートバックスセブンの通期見通し修正
数値は2027年3月期を対象としており、前年実績の純利益は売上高2801億円に対し84億円だった。
項目従来予想修正後予想増減
売上高¥300.0bn¥300.0bnUnchanged
営業利益¥15.0bn¥15.0bnUnchanged
経常利益¥15.0bn¥15.0bnUnchanged
純利益(親会社株主帰属)¥9.0bn¥11.2bn+¥2.2bn (+24.4%)
1株当たり利益予想¥114.62¥142.64-

今回の増益見通しは事業実態ではなく、税務・会計上の要因によるものだ。オートバックスセブンの実際の小売事業は、フランスを含めどの地域においても、フランス事業売却発表前に見込まれていたのと全く同じ売上高・営業利益を生み出す見通しである。売却自体はまだ最終確定していない。AUTOBACS FRANCEがフランス法で義務付けられた労働協議を完了し、正式な株式譲渡契約を締結できるかどうかにかかっている。