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大和ハウス工業、東京のタクシー会社に出資 銀座の土地取引の軸に

大和自動車交通が大和ハウス工業に新株9億9980万円を割り当て、同社は持株比率9.76%で筆頭株主となる一方、銀座の土地は賃貸方式で再開発し建設費用は大和ハウス工業が負担する

2026年9月9日3分で読める大和自動車交通9082
タクシー営業所の隣にある、フェンスで囲まれた再開発予定の空き地に、将来建設される建物のかすかな輪郭を重ねたイラスト

東京でタクシー・ハイヤー事業を営む大和自動車交通は、不動産事業が本業のタクシー事業を収益面で上回る状況にあるが、住宅メーカーの大和ハウス工業に対して発行済株式の1割弱に相当する株式を割り当てる。同社取締役会は9月9日、大和ハウス工業に新株49万100株を1株2040円で発行することを決議し、調達額は総額9億9980万円、発行費用控除後で約9億8780万円となる。9月25日の払込完了後、大和ハウス工業は増加後の発行済株式数の9.76%を保有することになり、これまで筆頭株主だった個人株主(保有比率は8.45%に低下)を上回る。

第三者割当の概要
数値は2026年9月9日付の同社TDnet開示に基づく。
項目内容
発行新株数490,100
発行価格1株2040円
調達総額¥999.8mn
差引手取額¥987.8mn
割当後の大和ハウス工業の持株比率9.76%
議決権比率の希薄化10.85%
払込期日2026年9月25日

既存株主は保有比率で9.34%、議決権比率ではより大きい10.85%の希薄化を被る。同社は、短期的な影響を長期的な効果が上回るとしている。

調達資金の使途

調達資金は、同社が保有する築13年から41年の賃貸物件11棟の改修費用に充てられる予定で、2026年10月から2030年6月にかけて年間約2億5000万円を投じる計画だ。この背景には同社が明言する事情がある。金利負担の増加により、物件維持に充てられる手元資金が圧迫されているという。2026年3月31日に42億円の資産担保融資を新規の30億円のシンジケートローンで返済した後、手元資金は31億3000万円となっている。

不動産事業がいまやグループの収益を牽引している。2026年3月期、不動産セグメントは売上高10億5000万円に対し営業利益率60.4%を計上し、前年の55.0%から上昇した。一方、運転手不足や燃料費高騰が続く中核の旅客運送事業は、売上高148億円に対し営業利益率はわずか2.4%にとどまった。

銀座を巡る動き

今回の提携で最も具体的な資産となるのが、同社が2010年まで本社を置いていた東京都中央区銀座1丁目の土地だ。同社は2022年以降、この土地の再開発方法について複数のデベロッパーに打診しており、大和ハウス工業もその一社だった。最終的に同社は、自ら開発するのではなく大和ハウス工業に土地を賃貸する方式を選択し、賃料収入を得る一方で、建設・運営の費用とリスクは大和ハウス工業側が負う形とした。着工は2027年4月を目標としているが、現時点では着手していない。再開発の対象として名前が明かされていない他の老朽物件についても協議が続いている。

発行価格の条件と残る論点

発行価格の2040円は9月8日の終値と同水準で、直近1カ月平均に対しては3.40%、3カ月平均に対しては22.01%、6カ月平均に対しては37.00%のプレミアムを付けており、社外監査役2名を含む同社監査役は、この条件が大和ハウス工業に不当に有利なものではないと判断した。大和ハウス工業は同株式を長期保有する方針を示すとともに、2年以内に売却する場合は同社に通知することを約束している。

今回の取引が業績に与える影響については、依然として不透明な部分が残る。同社は2027年3月期の連結業績への影響について精査中であり、業績予想の修正については改めて発表するとしている。