スイッチング電源メーカーのコーセル(東証:6905)は、2027年5月期の通期営業利益予想を23億円とし、6月時点の予想13億円から72%上方修正した。通期売上高予想は10%増の318億円、親会社株主に帰属する純利益は62%増の26億円に上方修正され、1株当たり利益は従来予想の38.99円から63.21円に上昇する。
| 指標 | 前回予想 | 修正予想 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥28.9bn | ¥31.8bn | +10.1% |
| 営業利益 | ¥1.3bn | ¥2.3bn | +72.3% |
| 経常利益 | ¥1.5bn | ¥2.4bn | +55.9% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | ¥1.6bn | ¥2.6bn | +62.1% |
| 1株当たり利益 | ¥38.99 | ¥63.21 | - |
この上方修正は、第1四半期に同社が赤字から黒字に転換したことを受けたものだ。売上高は前年同期比54%増の78億円、営業損益は前年同期の3億8900万円の損失から5億4500万円の利益に転換した。純利益は6億6100万円で、前年同期は6800万円の損失だった。この転換の一部は、スウェーデンの子会社Powerbox International ABの売却に伴う一時的な3億5500万円の売却益を反映しており、株式譲渡は9月1日に完了した。受注高は155%増の130億円となった。
コーセルはこの好転を生成AI関連需要によるものとしている。顧客は半導体製造装置向けの電源ユニットの購入を増やしており、同社はこの分野がAI関連需要の強さを背景に堅調を維持していると説明する。ファクトリーオートメーション市場の顧客も、これまでの四半期で積み上がった在庫の消化を進めており、これが今年実施した価格改定や新製品の販売とともに、より広範な需要回復を支えている。
すべての地域が同様に恩恵を受けたわけではない。コーセルの決算説明資料によると、AI関連の受注拡大とともに日本、アジア、北米の売上高はいずれも改善したが、欧州事業は需要の低迷が続き、損失が拡大した。
同社は自社のサプライチェーンに対するリスクを指摘した。半導体製造装置向け需要の急拡大により、メモリチップやプリント基板を含む一部部材の供給に懸念が生じており、コーセルはこれが市場見通しの不確実性を高めていると述べている。
コーセルは残りの期間について為替前提を変更せず、1ドル=155.00円、1ユーロ=182.50円とし、6月予想と同じ水準を維持した。これにより、今回の増益は為替の追い風によるものではなく、事業実績に基づくものであることが分かる。
今回の数字は、AI関連投資の特定分野の波に乗る中堅部材サプライヤー1社の実態を示すものであり、半導体サイクル全体を判断する材料ではない。コーセル自身の説明資料では、顧客による前倒し発注を含む第1四半期の受注急増が一巡した後は受注の伸びが落ち着くと見込んでおり、欧州事業は依然として赤字が続いている。
