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中部電力、浜岡再稼働申請を取り下げ 自社の地震データに不正操作発覚

中部電力、浜岡3・4号機の再稼働申請を取り下げ 独立調査で職員による地震波形選定の長年の操作と隠蔽工作が発覚し、社長・会長がそろって退任

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月14日2分で読める中部電力9502
モニター画面に重なり合う地震波形の線を描いたイラストで、1本の線が他の線の集団から離れて強調表示され、選ばれたデータ点が際立っている様子を示す構図

中部電力は、安全性評価の根拠となる地震データが信頼できないと自社の調査委員会が結論付けたことを受け、浜岡原子力発電所2基の原子炉再稼働に向けた申請を取り下げた。同社は9月14日、東京証券取引所に対し、臨時取締役会で3号機・4号機の原子炉設置変更許可と、これに関連する工事計画認可および保安規定変更届―いずれも福島第一原発事故後の新規制基準に基づき申請していたもの―を取り下げる決議をしたと発表した。中部電力は「準備が整い次第」再申請するとしたが具体的な時期は示さず、今期および今後のグループ業績への影響については「未定」としている。

発端は、原子炉が耐えられるよう設計すべき基準となる揺れ「基準地震動」を中部電力がどのように算定したかを調べていた独立調査委員会が、9月11日に取締役会へ提出した報告書だった。中部電力は原子力規制委員会に対し、無作為に生成した20回のシミュレーションの平均値に最も近いものを代表波形として選定したと説明していた。しかし調査の結果、225件の波形のうち少なくとも105件で、技術者らは20回分のシミュレーション候補セットを複数生成した上で、望む結果が出るセットを選んでいたことが判明した。さらに少なくとも7件では、担当者が平均値と一致しない波形を意図的に選び、その後残り19個の波形を逆算して作成し、書類上は平均値と一致するように見せかけていた。調査委員会はまた、以前の操作を統計的に問題ないように見せるため、同社が事後的にいくつもの手法を使って裏付け計算を捏造していたことも突き止めた。こうした圧力の一因は、中部電力が規制当局に「活断層ではない」と説明していたA-17と呼ばれる地元の断層にあった。原子力規制委員会が繰り返し疑義を示したことで、より厳格で時間のかかる再評価を迫られ、同社は完了を急いでいた。

中部電力が問題を認めたのは、原子力規制委員会が2025年5月に疑問を呈し、同年10月に委託先による基礎資料の提出を求め、同社の説明では整合しないデータを突きつけて以降のことだった。中部電力は2025年12月に社内でデータ操作を確認し、2026年1月5日に公表、1月26日以降は原子力規制委員会の規制検査を受けている。取り下げの発表に合わせて公表された黒塗りの報告書の中で、調査委員会は今回の行為を単純に「改ざん」や「データ不正」と断定することはしないとしつつも、「適切」な点は何一つなかったと明言し、225件のうち77件については状況を確認できる段階にすら至っておらず、なお精査が必要だと注意を促した。

影響は経営トップにも及んだ。林欣吾社長と勝野哲会長はいずれも9月30日付で退任し、特別顧問に就く。10月1日付で後任には、現在取締役常務執行役員を務め、主に火力発電やエネルギー事業の経営に携わってきた安井稔氏が就任する。中部電力は9月11日の報告書を直接引用する形で、「経営責任を明確化し、新体制の下で改革を進めるため」に今回の人事が必要だったと説明した。

中部電力の経営体制変更
2026年9月14日開示に基づく発効日と役職
氏名現職新職発効日
林欣吾代表取締役社長特別顧問2026年9月30日
勝野哲代表取締役会長特別顧問2026年9月30日
安井稔取締役常務執行役員代表取締役社長2026年10月1日

資金計画や供給力計画において浜岡原発の再稼働をいずれ前提としてきた同社にとって、今回の取り下げはその前提を失わせる一方、代わりとなる時期は示されていない。中部電力は、独立調査委員会によるより広範な調査結果を精査した上で詳細を改めて説明するとしているが、当面、投資家の手元には未分類の波形77件と再稼働の見通しのなさだけが残されている。