本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

記事

アドバンスクリエイト、会計調査で損失拡大し債務超過に転落

大阪の保険代理店アドバンスクリエイトは自己資本が2億7600万円のマイナスに転落し、広告子会社の不適切な会計処理を巡る第三者委員会の調査を受けて減損処理と過年度決算の訂正を迫られた末、2026年9月期の純損益予想を従来の利益4億5000万円から純損失3億9100万円に下方修正した

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月18日3分で読めるアドバンスクリエイト8798
ゼロラインを下回って赤色に変わる財務棒グラフと、会計調査を象徴する虫眼鏡のイラスト。

大阪の保険代理店アドバンスクリエイト(東証8798)は9月18日、投資家に対し、取締役会が2026年9月期の通期利益予想を純損失3億9100万円に下方修正したと発表した。従来予想の利益4億5000万円から8億4100万円の下振れとなる。売上高予想は10.0%減の71億5000万円、営業利益予想は34.9%減の4億2300万円、経常利益予想は42.0%減の3億1900万円にそれぞれ修正した。

アドバンスクリエイトの通期業績予想修正(2026年9月期)
2026年9月18日付の業績予想修正に関するお知らせに基づく数値。従来予想は2025年11月14日発表。
項目従来予想修正後予想増減
売上高¥7.95bn¥7.15bn-7億9600万円(-10.0%)
営業利益¥650mn¥423mn-2億2700万円(-34.9%)
経常利益¥550mn¥319mn-2億3100万円(-42.0%)
親会社株主に帰属する当期純利益(純損失)利益4億5000万円純損失3億9100万円-8億4100万円

今回の下方修正は、9カ月間の営業不振と会計調査に伴う一時費用の両方を反映したものだ。6月までの9カ月間の売上高は0.4%増の48億6000万円となった一方、営業損失は前年同期の6億9900万円から2億7100万円に縮小し、経常損失は8億5900万円から3億4000万円に縮小、親会社株主に帰属する純損失は14億1000万円から7億6800万円に縮小した。

こうした損失縮小の表面的な数字とは裏腹に、財務基盤には問題を抱える。自己資本は2025年9月期末時点の4億4900万円のプラスから、6月30日時点で2億7600万円のマイナスに転落し、自己資本比率も4.4%からマイナス3.4%に悪化した。アドバンスクリエイトは、営業損失・経常損失・純損失が4期連続、営業キャッシュフローのマイナスが3期連続となっていることを理由に、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在すると開示した。取引銀行との一部の債権流動化契約についても財務制限条項に抵触した。これは自動的な期限の利益喪失には該当しないものの、銀行側にすでに実行済みの流動化債権の買い戻しを請求する権利を与えるものだ。この権利について銀行側は、後述する会計訂正に伴い生じた流動化債権の不足分をアドバンスクリエイトが2025年11月に返済し終えたことを受け、2025年12月に放棄することに同意している。

今回の業績下振れの背景にある費用は、同社のオンライン保険比較サイトを運営する完全子会社の広告代理店に起因する。同子会社および親会社における過去の広告取引およびソフトウェア資産計上に関する不適切な会計処理の疑いを調査していた第三者委員会は、2026年7月31日に調査結果を報告し、これを受けてアドバンスクリエイトは過年度の財務諸表を訂正した。第3四半期単独では、会計調査に伴う特別調査費用2億7450万円と会計訂正関連費用350万円を計上した。これとは別に、一部固定資産の収益性低下を反映した減損損失2億0600万円、債務保証損失引当金2300万円、賃貸借契約解約損2220万円、リース解約損400万円を計上した。会社側の試算によれば、これらの調査・訂正費用とその他の特別損益を除いた場合、純資産は1億4400万円のプラスとなっていたという。同社が8月に開示した内容では、調査・訂正費用の総額は約5億2400万円と見積もられており、通期業績にはさらに約2億5000万円の関連費用を計上する見込みだとしている。

会計問題の裏にある事業実態はまだら模様だ。引き続き中核事業である保険代理店セグメントは、新規顧客との商談が減速する中、売上高が2.6%減の34億3000万円となったものの、営業損失は3億3600万円に縮小した。調査対象となっている保険比較サイトを中心とするメディア事業は広告主の出稿控えにより売上高が71.4%減の1億9800万円まで落ち込んだ一方、メディア代理事業の売上高は137.2%増の8億6800万円となったものの、外部委託費の増加により営業損益は8500万円の損失に転落した。現金及び預金は9カ月間で28億7000万円減少し、24億7000万円となった。アドバンスクリエイトは中間配当を見送るとともに、株主優待制度を2期連続で停止する。