サンケイリアルエステート投資法人(2972)の役員会は、東証上場REITに対する新たな買収提案を承認したが、その決議は投資主に売却を求める内容にはほど遠い。役員は、シティインデックスフィフスによる公開買付けに賛同する意向を示す一方、応募するか否かの判断は投資主一人ひとりに委ねるとしている。
有価証券の保有・運用・投資を手掛けるシティインデックスフィフス(2012年10月設立)は9月25日、投資口1口当たり12万5000円で、9月28日から11月10日まで公開買付けを実施すると決定した。開示資料によれば、同社の筆頭株主の持株比率は37.59%。この12万5000円という価格は、今年1月から5月にかけてTiger投資事業有限責任組合及びLion投資事業有限責任組合が実施した先行の公開買付けと同水準で、当時はスポンサーであるサンケイビルの応募分を除いた応募比率が全投資口の24.66%にとどまり、完全な支配権の取得には至らなかった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開買付価格 | 投資口1口当たり12万5000円 |
| 公開買付期間 | 2026年9月28日~11月10日(30営業日) |
| 買付予定数 | 37万5636口、上限なし |
| 買付予定数の下限 | 11万8732口(買収グループの公開買付け後の持分比率45%) |
| 先行公開買付け(2026年1月~5月) | Tiger投資事業有限責任組合及びLion投資事業有限責任組合が同じ12万5000円で実施、スポンサーの応募分を除く応募比率は全投資口の24.66% |
| スクイーズアウト完了予定 | 2027年2月末まで |
シティインデックスフィフスの特別関係者であるATRAやC&I Holdingsなどは、既に投資口13万9646口(発行済投資口の29.90%)を保有している。このうち2者は公開買付けに応募する一方、投資口の9.89%を保有する個人の特別関係者を含む残り2者は応募しない旨で合意している。公開買付者によれば、この個人の特別関係者は、公開買付け後にスクイーズアウト手続が行われる場合、保有する投資口の全てを同じ12万5000円でATRAに譲渡する見通しだという。この取決めにより、当該投資主の売却価格は応募した投資主と同水準に保たれることになる。
買付予定数の下限は11万8732口で、これは買収グループの公開買付け後の持分比率45%に相当し、シティインデックスフィフスが残る投資主を締め出す投資口併合議案を可決するために必要と試算する約41%を大きく上回る水準だ。買付予定数に上限はなく、下限を満たせば応募された投資口はすべて買い取られる。シティインデックスフィフスは、このスクイーズアウト手続を経て2027年2月末までに同REITを非公開化する方針だ。
役員会の判断の背景には、上場維持のための環境が悪化していることがある。1口当たり純資産価値(NAV)は、6カ月前の10万8412円から2月には11万4099円に上昇したものの、東京証券取引所のREIT指数は1月から9月にかけて約14%下落し、同REITは保有する福岡グリーンビルディングについて49億3000万円の減損損失を計上した。スポンサーであるサンケイビルは、フジ・メディア・ホールディングス(4676)グループの一員だが、別途、1兆円を超える外部資本の導入提案を受けていると報じられている。スポンサーの新たな所有者が誰になるかは、なお定まっていない。
役員会は、12万5000円という価格はみずほ証券が算定した評価レンジのいずれをも上回るとし、独立した特別委員会による2度にわたる価格引き上げ要求を踏まえたものであり、最終的に特別委員会は価格自体は据え置いたまま、買付予定数の下限をより厳格な45%とすることで合意したとしている。価格について第三者機関によるフェアネス・オピニオンは取得していない。スクイーズアウトが投資主総会の議決を通過するか、また同REITが計画通り上場廃止となるかは、11月10日の公開買付け終了後も依然として不透明だ。
