レゾナック・ホールディングスの懸念材料が一つ減った。東京証券取引所は2026年9月7日、レゾナックの取締役会が8月25日に分社化を決議した石油化学子会社クレサス・ケミカルのTSEスタンダード市場への上場を承認した。この承認は、撤回されない限り分社化の効力発生に付された唯一の条件だったため、分離は10月1日に予定通り実行される見通しだ。
その手法は売却ではなく現物配当だ。レゾナックは9月30日を基準日として株主名簿に記載された株主に対し、レゾナック株式1株につきクレサス・ケミカル株式1株を配当する。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年9月28日(月) | レゾナック株式の配当権利付き最終買付日 |
| 2026年9月29日(火) | レゾナック株式が権利落ちとなり、クレサス・ケミカル株式がTSEスタンダード市場で取引開始 |
| 2026年9月30日(水) | 現物配当の基準日 |
| 2026年10月1日(木) | 配当の効力が発生し、分配が実行される |
クレサス・ケミカル株式は、権利落ち日と同じ9月29日に、新規株式公開(IPO)ではなく直接上場の形で売買が開始される予定だ。初値は、主幹事証券のみずほ証券が提出する「参考流通価格」を基準とした値幅の中で、実際の投資家需給によって決定される。日本取引所グループは上場のおよそ1週間前に、この参考価格を新規上場銘柄のウェブサイトで公表する見通しだ。
レゾナックの帳簿上、この配当は時価ではなく簿価で計上される。総額はおよそ377億9000万円、1株当たり199円02銭で、利益剰余金を取り崩す形となる。同社は、この金額はあくまで会計上の簿価を反映したものであり、上場後にクレサス・ケミカル株式が実際にいくらで取引されるかを示すものではないと明言している。
株式が名簿から外れると、レゾナックのクレサス・ケミカルに対する残存持分は20%を下回る。これにより同事業は連結対象から外れ、レゾナックが同社に対する重要な影響力を持たなくなるとしていることから、持分法適用の対象からも外れる。IFRSの下でレゾナックは、同事業を所有者への分配目的で保有する処分グループとして計上し、当期第3四半期から非継続事業として表示する方針で、支配を喪失する実行時にはさらに会計処理を行う予定だ。レゾナックは、連結業績への正確な影響については「現時点で精査中であり、未確定である」と慎重に述べている。
実際に貸借対照表から外れる規模は小さくない。2025年12月期のクレサス・ケミカルの業績は、売上高3039億円、営業利益42億円、経常利益56億円、総資産1912億円、純資産746億円、1株当たり簿価284円12銭だった。レゾナックは現在その全株式を保有している。資本金1億1000万円、2024年8月設立の同社は、エチレンやプロピレンなどの基礎石油化学製品、酢酸系有機化学品、合成樹脂を製造している。従業員は現在レゾナック・ホールディングスおよびレゾナックの関連会社からの出向者だが、上場実施後はクレサス・ケミカル自身の雇用に切り替わる予定であり、取締役については親会社からの出向者はいない。両社間の商取引は原則として解消され、存続する契約についても必要性や条件を個別に見直すとしている。
上場承認によって分社化の手続きは確定した。だが、非継続事業の会計処理が数値に反映された際、レゾナック自身の公表業績にどれほどの影響を残すかは、いまだ定まっていない。
