日本精機(新潟県に拠点を置く自動車用メーターの製造会社)は、取締役会が承認した当日にデンソーのヘッドアップディスプレイ(HUD)事業を譲り受ける契約を締結した。両社は2026年8月28日に事業譲渡契約を結び、日本精機は日本、中国、スペイン、米国、メキシコにおけるデンソーのHUDの開発・製造・販売事業を引き継ぐ。
今回の契約は意図的に範囲を限定したものだ。日本精機が取得するのは、デンソーの生産設備と、速度やナビゲーション、警告情報をフロントガラスに投影する装置であるHUDユニットに関連する知的財産権のみである。デンソーのHUD担当従業員や土地、工場建屋は対象に含まれず、顧客との契約は各顧客の同意が得られ次第「順次」移管される。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 範囲 | HUD development, manufacturing and sales in Japan, China, Spain, the US and Mexico |
| 取得資産 | Production equipment and related intellectual property (Denso's HUD staff, land and buildings excluded) |
| 対象事業の資産 | ¥1.16bn as of 31 March 2026 |
| 価格 | Undisclosed; capped at 1% of Nippon Seiki's consolidated net assets, paid in cash |
| 条件 | JFTC clearance, other regulatory approvals, customer consents |
| 完了予定時期 | 26 February 2027 |
対象事業の資産は2026年3月31日時点で11億6000万円だった。日本精機によると、現時点で非公表の譲渡価格はHUDユニットの将来キャッシュフローをもとに算定されたが、同社の2026年3月期の連結純資産の1%を超えない範囲で、自己資金による現金で支払われる。譲受事業の詳細な財務内容は、両社間の秘密保持契約に基づき非公開とされている。
取引の完了には公正取引委員会の許可、その他の規制当局の承認、および顧客の同意が必要であり、完了時期は2027年2月26日を目標としている。譲渡対象設備の移設が完了するまでの間、日本精機は移行期間中デンソーに製造を委託することで生産を継続する方針であり、これは移管作業が進む間、既存の顧客向け受注を確保するための措置である。
日本精機は今回の買収について、すでに大規模に展開している事業分野を拡充するものと位置付けている。同社は2026年3月期に欧州のBMWやアウディ、米国のGMやクライスラー、日本のマツダなどの顧客向けに約210万台のHUDユニットを生産した。同社によれば、デンソーのノウハウと生産基盤を取り込むことでコスト競争力が高まり、より幅広い顧客仕様に対応できるようになるという。世界のHUD市場は、日本精機によると2024年に約1.25倍に拡大し、同年に新車搭載率が10%を超えたとされ、2035年までに2100万台規模に達すると見込まれている。
デンソーにとって、今回の売却は買収先を規模で大きく上回る部品大手グループからディスプレイ事業を切り離すものだ。デンソーは2026年3月31日時点で純資産2兆8900億円、総資産4兆9300億円を計上しており、日本精機の年間売上高3279億円とは規模の差が大きい。デンソーの筆頭株主はトヨタ自動車で持株比率は22.24%、日本マスタートラスト信託銀行が13.04%を保有している。日本精機は、今回の取引が同社の業績に与える影響は軽微であるとしている。
