東京証券取引所スタンダード市場に上場する工作機械メーカーのエンシュウは2026年8月28日、タイの完全子会社で製造拠点であるBANGKOK ENSHU MACHINERY Co., Ltd.(BEM)の生産を停止することを取締役会で決議したと発表した。生産停止は2026年9月30日付。タイの販売子会社であるENSHU (Thailand) Limitedは営業を継続する。
エンシュウは生産停止の要因について、タイにおける電気自動車(EV)シフトや中国系自動車メーカーの進出拡大により、日系メーカーのタイでの設備投資がここ数年減少していることを挙げた。この結果、BEMの工場稼働率は低水準にとどまっており、同社は短期的な回復は現実的ではないと判断した。
同子会社の業績は、落ち込みの速さを物語っている。売上高は2023年12月期の1億2990万バーツから翌期には8790万バーツへ、2025年には2870万バーツにまで減少した。純利益も同様の傾向をたどり、BEMは2023年に1010万バーツの黒字を計上した後、2024年に40万バーツ、2025年に890万バーツの赤字に転落した。
| 会計年度(12月期) | 売上高(百万バーツ) | 純利益(百万バーツ) |
|---|---|---|
| 2023 | 129.9 | 10.1 |
| 2024 | 87.9 | -0.4 |
| 2025 | 28.7 | -8.9 |
エンシュウは間接保有分を含めてBEMを完全子会社としており、同タイ拠点の資本金は5030万バーツとなっている。BEMのラインが停止した後は、これまで同社が担ってきた工作機械の生産をエンシュウの日本本社と中国子会社に移管する。
今回の開示では、業績への影響は明らかにされていない。エンシュウは、2027年3月期の連結業績への影響について現在精査中であり、重要な事項が判明した場合は改めて開示するとしている。すでに確定しているのは、日本の工作機械メーカーが、タイの自動車サプライチェーン地帯で工場を稼働させ続けることはもはや採算に合わないと判断した一方で、他拠点で生産する機械の販売網はタイに残すという事実である。
