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石油コスト値上げ要請、発注者受諾半分未満 公取委調査

公正取引委員会の緊急調査によると、2月以降の石油関連コスト上昇を受けてサプライヤーが要請した値上げのうち、発注者が受け入れたのは平均で48.3%にとどまった。価格転嫁は二次受注者から三次受注者以降の取引段階で特に進んでおらず、同委員会は要請に応じなかったとされる発注者59社に注意喚起文書を送付した。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月25日4分で読める
工業用潤滑油のドラム缶とプラスチック樹脂ペレットのパレットが置かれた搬入場に、一部を消して低い金額に書き換えた価格表示が並ぶイラストで、サプライチェーンにおける部分的なコスト価格転嫁を象徴している。

公正取引委員会は、石油価格高騰による今年のコスト上昇分について、サプライヤーが値上げを要請した際に発注者がどう対応したかを調べる緊急調査の結果を公表した。その結果、発注者は平均で要請額の半分弱しか受け入れていなかったことが分かった。

高市総理大臣が5月の記者会見で、中東情勢が石油関連製品の価格に及ぼす影響を調査する意向を示し、6月には内閣官房の作業部会が価格転嫁の一層の監視を求めたことを受け、同委員会は調査の実施を決めた。公正取引委員会は、毎年実施している価格転嫁円滑化・支払適正化に関する調査のウェブアンケートに石油コストに関する新たな設問を加え、2月下旬から7月下旬までの行為を対象に調査した。

同委員会は47業種の企業15万社を対象に、燃料や石油由来の樹脂、包装用フィルム、潤滑油など石油関連のコストの上昇分を価格に反映できているかを尋ねた。回答したのは2万7622社(回答率18.4%)にとどまり、以下の数値は調査対象の全体ではなく、この回答者集団についてのものである。

回答者のうち、受注者の64.1%が石油価格上昇の影響を受けたと回答し、製造業では79.9%、流通業では75.1%に達した。影響率が80%以上だったのは14業種で、石油製品・石炭製品製造業(92.9%)、パルプ・紙・紙加工品製造業(89.8%)、プラスチック製品製造業(89.6%)、食料品製造業(89.2%)、自動車整備業(88.9%)が上位を占めた。最も多く挙げられた影響は、影響を受けた受注者の80.5%が回答した「エネルギー、原材料、消耗品の価格が上昇し、利益が減少した」であり、40.2%は原材料の調達難による出荷抑制や納期の遅れも報告した。

価格交渉も反映は一部に

サプライヤーが値上げを要請した場合、公正取引委員会が示した中心的な数値は、エネルギー・原材料・副資材・消耗品のコストを合わせた要請受諾率が48.3%というもので、発注者は平均して要請額の半分未満しか受け入れていないことを意味する。この平均値の背後では市場が二極化しており、要請額の満額を得たサプライヤーが26.9%に上る一方、5分の1未満しか得られなかったサプライヤーが23.4%、20%から40%の間にとどまったサプライヤーが27.2%だった。価格転嫁が特に進んでいなかったのは、二次受注者と三次受注者以降の取引段階で、この傾向は製造業とサービス業で最も顕著だった。

サプライチェーンの段階別の要請受諾率
石油関連コスト上昇に伴う値上げ要請額に対し発注者が受け入れた金額の割合、調査対象47業種全体(N=3,111)。
サプライチェーンの段階エネルギー原材料副資材消耗品コスト全体
需要者→製造業者等49.6%52.2%45.5%43.2%48.9%
製造業者等→一次受注者46.8%54.9%43.0%45.2%49.1%
一次受注者→二次受注者48.8%52.9%44.7%47.2%49.4%
二次受注者→三次受注者以降37.8%51.5%44.6%39.4%45.4%

影響を受けたサプライヤーのうち51.7%は、発注者に協議を申し出た結果、少なくとも一部は価格転嫁を受け入れてもらえたと回答した。公正取引委員会の調査では、協議を求めたサプライヤーの大半が実際に協議に応じてもらえていることも分かった。発注者が協議自体に応じなかったと回答したのはわずか0.8%、協議はしたが全く進展しなかったと回答したのは1.8%にとどまった。より大きな問題は、調査時点で値上げを申し出ていなかったサプライヤーが38.5%に上ったことで、発注者との力関係の不均衡や、価格改定の予定時期の数か月前から交渉を始める必要があるといった商慣行を、申し出ていない理由として挙げた。

注意喚起文書59件、指導2件

発注者がサプライヤーからの要請について一切協議せずに価格を据え置いた、あるいは書面で理由を示さずに値上げを拒否したと回答した場合、公正取引委員会はこれを独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当するおそれのある行為とみなす。同委員会はこうした発注者59社に注意喚起文書を送付した。最も多かったのは総合工事業(8件)で、これに建築材料等卸売業、輸送用機械器具製造業、機械器具卸売業、窯業・土石製品製造業、酪農業・養鶏業(各4~5件)が続いた。これらは自主的な改善を促すための注意文書であり、59社が競争法に違反したと認定したものではない。

これとは別に、公正取引委員会は取適法に基づき、下請事業者から正式な価格交渉の申し出がなかったことを理由に発注企業が下請価格を据え置いていないか確認した。2社でこうした事例が見つかり、同法違反の疑いがある買いたたきとして指導を行った。確認した他の大半の企業は、下請事業者との間で既に価格調整に合意していた。

同委員会は、独占禁止法上問題となる事案について事業者名を公表する措置を含め、厳正な法執行を続けるとしている。また、毎年実施している価格転嫁調査の一環として、全47都道府県の事業者を対象に立入調査を既に実施しており、年内に全体の結果を公表する予定だ。