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銀行の不良債権は8兆4000億円、一方で処分損は3000億円増

銀行の開示不良債権は2026年3月末で8兆4000億円と変わらなかったが、年間の不良債権処分損は2000億円から5000億円に増え、増加は大手行に集中した

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月8日2分で読める
同じ高さに積まれたブロックの2列と、その横にある背の高い3列目。天秤の梁は高い列の側に傾き、横ばいの融資残高と増加した損失を表す

2026年3月期は銀行の開示不良債権が増えなかった一方、その処理にかかる費用は増えた。金融庁によると、2026年3月末の金融再生法開示債権残高は8兆4000億円で、前年と同水準だった。同期の不良債権処分損は5000億円で、2000億円から3000億円増えた。

対象は金融庁の全国銀行集計に含まれる106行で、都市銀行、旧長期信用銀行(SBI新生銀行とあおぞら銀行を含む)、信託銀行、地域銀行からなる。信用金庫と信用組合は別に集計されており、これらの合計には入っていない。

全銀行の不良債権と損失
全銀行(106行)の2025年3月末と2026年3月末の比較。発表資料の数値は1000億円単位に丸めており、不良債権処分損は年度ベース。
項目2025年3月2026年3月
金融再生法開示債権8兆4000億円8兆4000億円
不良債権比率1.1%1.0%
個別貸倒引当金2兆円1兆9000億円
不良債権処分損(通期)2000億円5000億円

横ばいの不良債権残高

8兆4000億円の内訳は、要管理債権が2兆円、危険債権が5兆3000億円(1000億円増)、破産更生等債権が1兆1000億円。金融庁の注記は、要管理債権を3カ月以上延滞している貸出金、または債務者の再建支援を目的に貸出条件を緩和した貸出金と定義している。総与信に占める不良債権の比率は全銀行で1.0%と、前年の1.1%から低下した。主要行は0.6%(前年は0.7%)、地域銀行は1.5%(同1.6%)だった。

個別貸倒引当金は2兆円から1兆9000億円に減った。開示債権全体では、担保・保証等と引当金を合わせて残高の80.1%を保全しており、前年は79.7%だった。引当金のみの保全率は28.0%で、29.1%から低下した。

損失の所在

金融庁の不良債権処分損の表によると、2026年3月期は5355億円で、前年の2425億円から増えた。貸倒引当金繰入額は3663億円で、614億円から増加した。直接償却等は1649億円で、1777億円から減少した。このうち、バルクセールによる売却損等は663億円で、前年は795億円だった。同項目には、金融庁によると子会社等への支援損や整理回収機構への売却損等も含まれる。

増加は大手行に集中した。都市銀行、旧長期信用銀行、信託銀行の不良債権処分損は3152億円で、前年は529億円だった。貸倒引当金繰入額は2230億円で、前年は491億円の純戻し入れだった。金融庁の発表資料と表には、損失が増えた理由は示されていない。

これらは2026年3月末時点の数値と、同日までの通期のフローであり、10月時点の残高ではない。残高が横ばいなのに損失の項目が大きくなったのは、同じ1年について貸借対照表と損益計算書の動きが食い違っているということだ。