3Dインベストメント・パートナーズは9月10日、関東財務局に対し、日本の主要商業地で不動産の所有・運営も手掛ける百貨店運営会社J.フロント リテイリングに対する保有比率が、前回報告時の10.32%から11.63%に上昇したと報告した。シンガポールを拠点とする同ファンドは、発行済株式総数2億7056万5764株のうち3146万1900株を保有しており、報告書によると、ポジション構築に用いた758億6733万9千円(約759億円)の全額が顧客資金によるもので、借入は一切利用していないという。
買い付けのペースは、報告義務のトリガーとなった基準日にかけて急速に加速した。9月2日には市場内で203万1800株(同社の0.75%相当)を買い付けたほか、市場外でさらに3万4800株を取得した。今回の報告のきっかけとなった保有比率1ポイント増加の基準を超えた9月3日には、市場内で96万1700株(0.36%)、市場外で2万7500株を追加取得した。
資本面の論拠
3Dインベストメントは、その目的が純投資に加え、J.フロント リテイリングの中長期的な企業価値向上に向けたエンゲージメントであるとしている。同ファンドは、J.フロント リテイリングの時価ベースで調整した自己資本利益率(ROE)および投下資本利益率(ROIC)が低すぎると主張し、百貨店不動産の価値を織り込めば同社は過剰資本を抱えている状態にあるとし、バランスシートと資本配分が最適化されれば企業価値は大幅に改善すると見込んでいる。今回の報告自体は、保有比率が開示義務を生じさせる1ポイント増加の基準を超えたことが契機となった。これとは別に、同ファンドは事業ポートフォリオの最適化、保有資産の有効活用、資本配分および資本規律の改善について、既にJ.フロント リテイリングの取締役会および経営陣と対話を行っているとしている。
同ファンドが留保する権利
報告書には、J.フロント リテイリングの価値向上に資すると判断した場合に3Dインベストメントが書面で提案し得る正式提案の一覧が記載されている。具体的には、特定の取締役の選任、取締役会構成の変更、代表取締役の選解任、資本政策の大幅な変更、重要資産の処分または取得、事業の一部譲渡または廃止、株式交換または株式移転、合併または会社分割、配当政策の変更、第三者による支配権の取得、大規模な新規借入などが挙げられている。これらはいずれも正式な提案として提出されたものではなく、報告書は単に、日本の重要提案行為に関する規則に基づき同ファンドが有する法的権利を留保しているにすぎない。
3Dインベストメントはまた、現在の水準から保有比率を5ポイント超引き上げる具体的な計画はないとしながらも、今後3カ月間のさらなる市場取引の結果、価格や流動性の状況次第ではまさにそうした結果になり得るとしている。報告書には、当該株式に関する質権設定その他の重要な契約は記載されていない。
