東京証券取引所グロース市場上場で電力・環境価値取引プラットフォームを運営するデジタルグリッドは、2026年7月期に7期連続の増収増益を達成した一方、投資家に対しては来期の利益は増加ではなく減少する見通しを示した。売上高は15.6%増の71億円、営業利益は10.0%増の30.2億円となり、営業利益率は42.4%だった。2027年7月期については、売上高が12.0%増の79.7億円となる見通しを示す一方、営業利益は5.0%減の28.7億円、純利益は17.9%減の16.7億円になると予想している。
要因は減価償却費の増加である。デジタルグリッドは取引プラットフォームの運営にとどまらず、系統用蓄電池を自ら購入・保有するようになっており、有形固定資産は前期末のわずか1.07億円から2026年7月期末には44.6億円へと急増した。経営陣は、蓄電池建設に伴う減価償却負担の増加を理由に、2029年7月期の中期営業利益率目標を従来の40%台以上から30%台以上に引き下げた。その代わりに新たな指標として、減価償却費を除いた事業本来の収益力を示すとする調整後EBITDAマージンを導入し、40%台以上を目標に掲げた。
| 主要指標 | 従来の目標 | 現在の目標 |
|---|---|---|
| ROE | 20%+ | 20%台以上(変更なし) |
| 営業利益率 | 40%+ | 30%台以上(引き下げ) |
| 調整後EBITDAマージン | 従来非開示 | 40%台以上(新指標) |
| 契約容量合計CAGR(FY27-29/7) | 30%+ | 30%台以上(変更なし) |
資金の使途は貸借対照表に表れている。短期借入金は当期中に75.9億円増加して78.5億円となり、総資産は178億円からほぼ倍増して308億円となった。自己資本比率は46.5%から34.1%に低下し、卸電力価格上昇に伴う売上債権の増加が資金を圧迫し、営業キャッシュフローはマイナス18.5億円に転じた。当期のフリーキャッシュフローはマイナス62.5億円で、うち投資キャッシュフローは蓄電池や建設関連の支出を中心にマイナス44.0億円だった。
こうした資金調達を背景としつつも、本業の取引事業は成長を続けた。同社の主要な取扱量指標である契約容量合計は38.3%増の過去最高1,429MWとなり、契約社数は249社増加して1,497社となった。月次の顧客解約率は前年の2.90%から1.64%へ改善し、プラットフォーム手数料とアグリゲーション事業を合わせた経常的収益は売上高の70.3%を占めた。中核である取引プラットフォームの手数料収入は5.8%減の45.1億円となったが、これは取扱量が増加する中でも競争激化により取引ごとの手数料が圧縮されたためだと経営陣は説明している。対照的に蓄電池アグリゲーション事業は最も成長が速い分野で、来期の売上高は4.89億円から20.4億円へと4倍以上になる見通しである。
経営陣は長期的な目標水準を維持した。2029年7月期には連結売上高100億円超、調整後EBITDA40億円超を目指すとし、自己資本利益率(ROE)20%台以上、契約容量の年率30%台以上の成長という目標も据え置いた。これらはあくまで目標であって保証ではなく、同社自身の開示資料も、実際の結果は前提が成立しない可能性のある想定に依存すると注記している。デジタルグリッドは無配であり、来期についても配当予想はないとし、資金は電力・再生可能エネルギー取引プラットフォームに次ぐ第三の柱になるとする蓄電池事業の構築に振り向けるとしている。
