誘導加熱装置、無線通信機器、防衛関連電子機器を手がける電気興業(東証プライム:6706)は2026年8月27日、東京証券取引所に対し、簿価割れの問題が依然として解消していないと開示し、取締役会の更新開示を通じて改善に向けた自社目標を引き上げた。
同社のPBR(株価純資産倍率)は5期連続で1.0倍を下回っており、2026年3月期は0.71倍で終えた。直近の株価回復を経てもなお簿価を下回る水準にとどまる。過去5年間で株価はわずか8.1%の上昇にとどまった一方、TOPIXは約80%上昇し、電気興業は市場全体に70ポイント以上劣後した。自己資本利益率(ROE)は2年前のマイナス5.0%から2026年3月期には5.2%まで回復したが、同社がCAPMモデルに基づき自社で算出する株主資本コスト(5.0~8.0%)を依然として下回り、市場が実際に求めているとする約8.0%のリターンにも届いていない。言い換えれば、エクイティスプレッドは依然としてマイナスのままだ。
経営陣が掲げる新たな目標は次の通り。営業利益率を「早期に」6%以上とすること、株主資本コストを上回るROE(電気興業は現在これを8%以上の目標と位置付けている)を達成すること、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを2026年3月期比で50日以上改善すること、そして自己資本比率を60~65%まで引き下げることだ。
これらの目標達成に向け、電気興業は中期経営計画「DKK-Plan2028」の下での3年間のキャッシュ配分計画を見直し、株主還元への支出額と、遊休資金・持ち合い株式の圧縮によって見込む資金流入額の双方を引き上げた。
| 項目 | 当初計画 | 修正後計画 |
|---|---|---|
| 株主還元(配当・自社株買い) | ¥2.0bn | ¥2.5bn |
| その他投資(更新投資・DX・ESG) | ¥3.0bn+ | ¥4.0bn+ |
| 成長投資(M&A・設備投資・研究開発) | ¥10.0bn+ | ¥10.0bn+ |
| 資産見直しによる資金流入(流動性資産・持ち合い株式) | ¥7.0bn | ¥8.5bn+ |
| 営業キャッシュフロー(研究開発費除く) | ¥6.0bn | ¥6.0bn |
M&A、設備投資、研究開発を中心とする成長投資は、3年間で100億円以上を維持する。電気興業はまた、2027年3月末を基準日とする新たな株主優待制度の導入も計画している。同社は、この5年間の株価上昇だけでは成し得なかったこと――株価を簿価超えへと押し上げること――を、より手厚い株主還元とバランスシートの改善によって実現できると見込んでいる。
