日立エナジーは、650億ドル超の受注残とデータセンター向けの展開を柱とする成長計画への投資を投資家に求めている。親会社の日立製作所(6501)が11月2日に公開した経営陣の説明資料では、同事業の2030年の調整後利益率目標を19〜21%に引き上げ、売上高の成長率目標を10%台半ばに設定した。インベスター・デー自体は英国時間11月3日17時00分(日本時間11月4日2時00分)に予定されており、以下の数値は開催に先立ち公表された経営陣側の数値である。
上期実績と各目標の比較
アンドレアス・シーレンベックCEOの説明資料によると、上期の売上高は前年同期の92億ドルに対し110億ドルとなり、名目為替レートベースで20%増加した。調整後EBITAマージンは12.9%から15.4%に上昇した。調整後EBITAは調整後営業利益に買収関連の無形資産償却費を加えたものだ。日立エナジー単体ベースの投下資本利益率(ROIC)は41.7%から54.4%に上昇し、同資料では過去最高としている。
| 指標 | 前年上期 | 当期上期 |
|---|---|---|
| 売上高 | $9.2bn | $11.0bn |
| 調整後EBITAマージン | 12.9% | 15.4% |
| 投下資本利益率 | 41.7% | 54.4% |
イスモ・ハカCFOの説明資料によると、通期見通しは売上高が前年度の198億ドルに対し236億ドル、マージンが前年度の13.4%に対し15.7%となっている。同資料によれば、上期末時点の受注残は650億ドル超と、2021年の水準の4倍超に達した。
鍵を握る生産能力の拡大
経営陣は、この受注残を売上に転換できるかは生産能力の増強にかかっているとしている。CEOの説明資料は、世界的な変圧器の製造能力拡大に向けた支出を含め、FY2020からFY2027にかけて製造、M&A、パートナーシップに90億ドルを投資するとしており、40件超の能力拡大プロジェクトが進行中だ。また、FY2025からFY2027にかけて年間5000人の人員増強も計画している。
同資料のグラフでは、FY2030までに売上高が約380億ドル、受注残が約1000億ドルに達する見通しが示されている。AI活用による生産性向上でFY2030までに調整後EBITAを押し上げる目標も、年間3億5000万ドル超へと引き上げた。また、対象市場の規模は2025年から年率約7%で成長して2030年までに約4000億ドルに達し、その後2035年までは年率約5%で成長するとしている。
データセンターと新たな目標
データセンター顧客は成長をけん引する主要因と位置付けられている。経営陣はFY2024からFY2027までを対象とするグラフ上で、データセンター向け受注の5倍増をめざしている。CEOの説明資料はさらに、統合型電力システムにおけるアンサルド・エネルジアとの提携を挙げ、AIファクトリー向けの800V DCアーキテクチャでNVIDIAと協業しているとしている。
CFOの説明資料は改定後の2030年の目標として、FY2024からFY2030にかけて年率10%台半ばの売上成長、19〜21%の調整後EBITAマージン、30〜40%の投下資本利益率(ROIC)、90%超の平均キャッシュコンバージョン率を掲げている。同資料はマージン目標について、2025年10月のインベスター・デーで示した目標から上方修正されたものとしている。
両資料には将来予想に関する記述についての注意書きが付されている。実際の結果が大きく異なる要因として、需要の変動、為替相場の変動、原材料・部品の不足、長期契約におけるコストの変動、新製品を市場に投入する能力などが挙げられている。
