資本金21億5800万円、神戸市に本社を置く自動車用・住宅設備用・産業用ホースメーカーのニチリンは、公正取引委員会が金型・治具を無償で保管させながら、その型で作る部品の発注をほとんど行っていなかったと認定したことを受け、25社の下請事業者に対する未払い分を支払わなければならない。
公取委が2026年9月3日に中小企業庁と連名で出した勧告は、近畿経済産業局による調査に端を発する。同局長は2026年7月16日、改正前の下請代金支払遅延等防止法第6条に基づき公取委に措置請求を行い、これが今回の事案の発端となった。
ニチリンは自社または取引先が所有する金型・治具を25社の下請事業者に貸与し、自動車用ホース(二輪車用ホースを含む)、住宅設備用ホース、産業用ホースおよび関連部品を製造させていた。少なくとも2024年9月1日から2026年7月28日までの約2年間にわたり、ニチリンはこれらの金型で製造すべき部品の発注を長期間行わない状態を続けた。その間、金型・治具の保管費用を下請事業者に支払うことは一切なく、25社に分散する計1,048点の金型・治具は各社の負担で保管されていた。公取委はこれを、改正前の下請代金支払遅延等防止法第4条第2項第3号が禁じる不当な経済上の利益の提供要請に当たると認定した。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 違反期間 | September 1, 2024 to July 28, 2026 |
| 無償保管された金型・治具 | 1,048 units across 25 subcontractors |
| 既払い額 | ¥9.79mn, paid by July 31, 2026 |
| 残る未払い額 | 公取委が残額を確定次第支払い |
| 命じられたコンプライアンス対応 | 取締役会決議、社員研修、下請事業者への通知、公取委への報告 |
ニチリンは既に25社の下請事業者に対し979万円を支払っており、これは2024年9月から2025年末までの保管費用を対象とするもので、公取委は本来支払うべき不利益額の一部が含まれるとしている。勧告はこの支払いを最終的なものとは扱っていない。公取委が残額を確定した場合、ニチリンはその確認後速やかに残額を支払うよう命じられている。
支払いに加え、勧告はニチリンの取締役会に対し、違反行為を正式に認め再発防止を確約すること、2026年1月に施行された改称後の下請法に基づき役員および発注担当者向けの研修を実施すること、勧告の内容を自社の従業員および対象となった下請事業者に周知すること、実施した措置について公取委に報告することを求めている。
本件は法改正の移行期における法執行の試金石となる。2025年12月までに行われた発注は旧下請代金支払遅延等防止法の対象となり、2026年1月以降の発注は改称後の後継法の対象となる。公取委は発注時期に応じて両方の枠組みを適用した。
