第一ライフグループのニュージーランド保険子会社パートナーズ・ライフは、1973年設立でオークランドを拠点とする生命保険会社フィデリティ・ライフ・アシュアランス・カンパニー・リミテッドの全株式を、6億3000万ニュージーランドドル(開示された為替レートNZ$1=94.65円で換算すると約596億円)で取得することに合意した。パートナーズ・ライフは2026年9月3日に株式譲渡契約の締結を決定し、第一ライフグループは同日、関東財務局に対応する臨時報告書を提出した。
売り手は単独の創業者やプライベートエクイティファンドではない。国家年金運用機関であるガーディアンズ・オブ・ニュージーランド・スーパーアニュエーションがフィデリティ・ライフ株式の49.62%を保有し、南島の先住民族(イウィ)と関係を持つンガイ・タフ・インベストメンツ・リミテッドが24.93%、フィデリティ・ファミリー・アカウントが14.64%を保有し、残る10.81%をその他の株主が分け合う。これらすべてがパートナーズ・ライフに渡り、第一ライフグループのフィデリティ・ライフに対する間接保有株式数はゼロから449万2670株(議決権ベースで100%)となる。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 取得価格 | 6億3000万ニュージーランドドル(NZ$1=94.65円換算で約596億円) |
| 取得株式数 | 449万2670株、議決権ベースで100%、間接保有 |
| 主な売り手 | ガーディアンズ・オブ・ニュージーランド・スーパーアニュエーション(49.62%)、ンガイ・タフ・インベストメンツ・リミテッド(24.93%)、フィデリティ・ファミリー・アカウント(14.64%)、その他の株主(10.81%) |
| 取引スキーム | 第一ライフグループの中間持株会社がパートナーズ・ライフに資本を注入し、パートナーズ・ライフがフィデリティ・ライフの全株式を取得 |
| 完了予定時期 | 2027年3月から7月、規制当局の承認が条件 |
| 特定子会社該当の要因 | フィデリティ・ライフの資本金が第一ライフグループの資本金の10%を上回り、臨時報告書の提出が必要となった |
第一ライフグループのバランスシートを注視する向きにとって、この取引の仕組みは重要な意味を持つ。東京の本社が直接買収資金を拠出するのではなく、中間持株会社がパートナーズ・ライフに新たな資本を注入し、パートナーズ・ライフがその資本を用いてフィデリティ・ライフを全株取得する形をとる。フィデリティ・ライフ自身の資本金は2026年6月末時点で3億7600万ニュージーランドドルとなっており、第一ライフグループの資本金の1割を上回ることから、同社は日本の証券法制上でいう特定子会社に自動的に該当する。これが、通常の開示ではなく臨時報告書の提出が必要となった理由である。
フィデリティ・ライフは小規模な追加買収ではない。2025年6月期の保険収益は4億5900万ニュージーランドドル、純利益は1400万ニュージーランドドルで、純資産は2億2100万ニュージーランドドル、総資産は7億5800万ニュージーランドドルだった。第一ライフグループが2022年11月に完全子会社化したパートナーズ・ライフ自体は、2026年3月期に保険収益6億1500万ニュージーランドドル、純利益3500万ニュージーランドドルを計上している。両社は異なる販売チャネルを持ち、パートナーズ・ライフは独立系ファイナンシャルアドバイザー向けのデジタルプラットフォームに強みを持つ一方、フィデリティ・ライフは郊外・地方のアドバイザーネットワークと団体保険に強い。
第一ライフグループは今回の買収を、2031年3月期までにグループ修正利益に占める海外生命保険事業の比率を約半分に引き上げる取り組みの一環と位置付けており、フィデリティ・ライフが早ければ次期中期経営計画中に年間約6000万ニュージーランドドル(約57億円)をその利益指標に上乗せすると見込んでいる。ただし、これらはすぐに実現するものではない。取引完了は現地規制当局の承認を条件に2027年3月から7月にかけてニュージーランドで予定されており、第一ライフグループは今期および来期の連結業績への影響について現在も精査中としている。
