Axiumが求めるもの
シンガポールに拠点を置く投資運用会社Axium Capital Pte. Ltd.は、日邦産業(9913)に対し、負債を増やしてその大部分を株主に還元するよう求めた。関東財務局に提出した9月3日付の変更報告書でAxiumは、8月27日に日邦産業へ、『中期経営計画2028』を改訂し、1株4000円での公開買付けによる買い戻しと配当政策の見直しを確約するよう提案したことを開示した。この提出書類は日邦産業に関する大量保有報告書の5回目の変更報告であり、Axiumが同株式を保有する目的を、純粋な受動的投資から積極的な提案へと変更したことが契機となっている。
Axiumの保有株数は155万1400株で変わらず、日邦産業の発行済株式912万7338株に対する17.00%という比率も従来の報告と同じである。日本の大量保有報告制度の下では、この保有株は基準条項に基づく155万1300株と、基本開示条項に基づく100株に区分される。Axiumは単独の報告義務者として提出し、共同保有者はなく、自らの保有分のみを1件の届出で報告した。
三つの支払い方法
Axiumは、日邦産業の取締役会が選択できる三つの負債活用型シナリオを示した。いずれも1株4000円という同一の公開買付け価格に基づいている。
| シナリオ | 買い戻し規模 | 総還元比率 | ネットデット・エビットダ比率(2031年3月期まで) | 1株当たりの上昇余地 |
|---|---|---|---|---|
| シナリオA | ¥8bn | 100% | 1.6x | ¥4,868 |
| シナリオB | ¥10bn | 100% | 2.1x | ¥5,239 |
| シナリオC | ¥4bn | 150% | 1.6x | ¥4,265 |
Axiumは、いずれのシナリオでも2031年3月期までに純有利子負債/EBITDA比率が概ね2倍程度で頂点に達するとし、この水準であれば日邦産業が計画中の投資への資金供給を続けながら株主資本利益率を大幅に高められると評価している。1株当たりの上昇余地の数値は、買い戻しおよびそれに伴う株式消却後も株価収益率が一定であることを前提としている。
Axiumはどのように資金を調達したか
Axium自身の資本が保有株式の原資に占める割合はごくわずかである。株式の原資となった資金28.2億円のうち、Axium自身の資金はわずか37万6000円にとどまり、残りの28.2億円は顧客資金であった。これとは別に、同提出書類では、Axiumの保有株式のうち8万5000株がプライムブローカレッジ契約に基づく第一順位の担保として差し入れられており、デフォルトが発生した場合にはブローカーがこれを差し押さえまたは売却する権利を有することが開示されている。
拒否した場合
この提出書類は、拒否した場合の結果について明確に記している。日邦産業が三つのシナリオのいずれも採用しない場合、Axiumは臨時株主総会を招集し、取締役の解任を提案する可能性があるとしている。これは提出書類に記された可能性であり、Axiumが実際に招集した総会ではない。同ファンドはさらに、事業ポートフォリオの見直し、取締役会構成や最高経営責任者ポストの変更、資本政策、さらには上場廃止や経営権の変更に関わる提案まで踏み込む権利を留保している。現時点での争点はバランスシート、具体的には日邦産業がどの程度の負債を抱えるべきか、そしてどの程度の資金を社内に留保せず株主に還元すべきかという点にある。
