金融庁は、2026年9月4日(金)に開催予定の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ第6回会合について、議事次第と資料を公表した。同会合に配布された2本の資料のうち1本は、日本企業の開示制度が依然としていかにきしんでいるかを異例なほど率直に指摘している。
同資料は、議事次第上ではNBIMとのみ記載された海外投資家によるもので、日本の発行体6社の開示を、一般論ではなく数値で検証している。各社は7から17種類の開示書類を提出しており、同レビューはこの6社に共通して重複する記載項目を47件確認したが、記載箇所や記載の深さは企業ごとにばらつきがあった。
| 懸念事項 | 検証結果 |
|---|---|
| 構造 | 発行体1社あたり7~17種類の開示書類、レビュー対象6社全体で47件の重複記載項目が判明 |
| 連関 | 6社全体で法定開示書類の外に置かれた重要情報が32件、うち9件は招集通知でカバーされており、23件は純粋な欠落 |
| 具体性 | 発行体1社あたり完全に一般的なリスク要因が6~13件、6社から抽出したリスク要因103件のうち数値を伴うものはわずか6件 |
| 関連性 | 重要性評価はSSBJのサステナビリティの視点を用いているが、財務諸表の注記、経営者による説明、中期計画、資本効率目標とは関連付けられていない |
| 時期 | 6社中5社で、法定開示書類は本来判断材料とすべき議決の0~7日前に株主に届いていた |
同資料で最も鋭いのは、金融庁がすでに検討している提案、すなわち事業報告書を有価証券報告書(有報)に統合する案への言及だ。この投資家の評価では、統合は「作成すべき書類を1つ減らす」ものの「主要な障壁ではなく」、それ自体では「上記の懸念を何ら変えない」という。つまり提出書類数を減らすだけでは、リスク開示がより具体的になるわけでも、レビューが発見した32件の欠落が埋まるわけでも、法定開示書類が本来判断材料とすべき株主総会での議決に対してより早く届くようになるわけでもない。
2本目の資料は日本IR協議会のチーフ研究員によるもので、発行体側の視点を示す。同協議会が2026年5月に上場企業全4088社を対象に実施した調査を基にしており、回答は948社、回答率は23.2%だった。回答企業のうち917社(96.7%)がIR活動を実施していると回答しており、同調査ではIR業務における生成AI、英文開示、オンライン開示の活用が拡大していることも追跡している。同資料は海外の形式とも比較しており、米国の大手発行体は多くの場合、フォーム10-Kに株主向けレターを組み合わせて1つのアニュアルレポートにまとめる一方、英国や欧州大陸の発行体は財務・ガバナンス・サステナビリティ情報を単一の法定文書に統合しており、こうした構造は日本の複数書類制度には見られないとしている。
こうした状況を踏まえ、この投資家が提案する是正策は理念的ではなく具体的だ。開示項目ごとに複数の書類で重複記載するのではなく、掲載先となる書類を1つに定めること、招集通知を参照方式で法定開示書類に組み込むこと、リスク要因には具体性または規模感を持たせることを義務付けること、株主基準日を決算期末から切り離すこと、そして有報の提出期限を延長し、あわせて3週間の通知期間を義務化することを求めている。さらに、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が定めるサステナビリティの重要性基準を規律を持って適用し、財務諸表の注記や経営者による説明と関連付けること、また検索も機械読み取りもできない画像のみの開示を禁止することも金融庁に求めている。
これらはいずれも確定した政策ではない。両資料はワーキング・グループの一会合向けの資料であり、金融庁が採用した規則ではなく、レビュー対象となった発行体6社の名前も公表された抜粋には記載されていない。金曜日の議論からどのような結論が出るのか、また金融庁自身の改革方針が事業報告書統合にとどまらず、提出時期やリスク要因の具体性にまで踏み込むのかは、依然として未定だ。
