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政策ウォッチ

日銀、物価上昇率が2%を明確に上回るとみて利上げ継続へ

日銀の10月展望レポート全文は、現在1.25%程度に誘導している政策金利を今後も引き上げる方針を明記した。企業の資金調達コストが低い水準から上昇するなか、ETF売却額は1月から年約8600億円へ拡大する。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月2日4分で読める
段階的に上昇する金利メーターの横で、積み重なった資金ブロックが売買代金の棒グラフの流れへと注ぎ込む様子を描いた抽象イラスト。

日本銀行が11月2日(月)14時に公表する「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の全文は、今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を示している。経済・物価・金融情勢の展開に応じて、各段階の時期やペースを見極めながら進める。全文は、10月29、30両日の決定内容に、見通し計数表と企業の資金調達環境に関する日銀の分析を加えたものだ。

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時期を示さない利上げ経路

政策委員会は賛成8、反対1の多数決で、金融市場調節方針を無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促すことと定めた。高田創委員は反対票を投じた。同委員は、基調的な物価上昇率が物価安定の目標に達し、政策は新たな局面に入ったと主張。中立金利に近づけるペースを速めるべきだとして、誘導目標を1.5%程度とすることを提案した。全文によると、コールレートは9月会合で政策金利が引き上げられるまで1.0%程度で推移していた。

日銀は判断の理由として、消費者物価指数(CPI)の基調的な上昇率が2%の目標とおおむね整合的な水準にあり、金融環境が緩和的であることを挙げている。物価の下振れリスクに相応の注意を払う必要があった時期を経て、最近、金融政策の局面が変化したという。展望レポートは次回の利上げの時期や水準を示していない。

物価上昇率は2%超、その後鈍化へ

日銀は、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が原油高やAI需要に伴う半導体価格の上昇、これまでの円安を受けて2%を明確に上回る水準まで加速し、その後は予測期間の後半にかけて2%程度に向かって鈍化すると見込む。7月のレポートと比べると、実質GDP成長率の見通しはおおむね不変である一方、2027年度のCPI見通しはやや上振れし、中央値は0.2ポイント上昇の2.6%となった。

政策委員見通しの中央値
政策委員見通しの中央値、対前年度比(%)、年度別。提案されている消費税減税は除く。
指標2026年度2027年度2028年度
実質GDP0.70.70.8
消費者物価指数(除く生鮮食品)2.52.62.0
消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)2.42.72.3

見通しは先物市場などを踏まえ、ドバイ原油が1バレル=105ドル程度から予測期間末にかけて70ドル程度へ下落するとの前提を置いている。また、現在国会で審議中の飲食料品に対する時限的な消費税率引き下げ案は織り込んでいない。仮に9月の閣議決定による税制改正大綱の全品目に適用された場合、日銀は2027年度のCPI上昇率を約1.3ポイント(生鮮食品・エネルギーを除くベースでは1.4ポイント)押し下げると試算している。

日銀は経済活動のリスクはおおむね上下にバランスし、物価のリスクは上振れの方が大きいと判断している。不確実性の主な要因として、中東情勢、AI関連需要、為替相場を挙げている。

利上げが借り手に意味するもの

レポートは、企業の資金調達コストが低い水準から上昇していると指摘する。貸出金利は短期・長期ともに市場金利に伴って上昇し、CP(コマーシャル・ペーパー)や社債の発行金利も上がっている。実質金利は上昇しているものの依然として低く、日銀は企業の資金調達コストが収益力に比べてなお十分に低いとしている。

M&A(合併・買収)などを背景に資金需要は強い。銀行貸出は前年比5.5〜6.0%増加しており、CP・社債の発行残高の合計も同5.0〜6.5%増えている。また日銀によると、中小企業が多く有利子負債比率が高い業種で、利払い負担の増加を指摘する企業数がやや増えている。9月短観の非製造業の先行き判断では、金利上昇への懸念が挙げられた。

ETF売却:規模拡大も調整余地を残す

日銀は2027年1月から、上場投資信託(ETF)の売却ペースを簿価ベースで年約8600億円へと引き上げる。2025年9月に決定し、2026年1月に開始した従来の年約3300億円から拡大し、株式市場の売買代金に占める割合は約0.05%から約0.1%に移行する。日銀は年間の売却額を時価ベースで約2兆4600億円と試算しており、保有分をすべて処分するまでの期間は約112年から約43年に短縮される。この期間は、2026年9月末時点の保有残高を年間売却額で割って算出されている。

政策委員会のこの採決は全員一致だった。金融市場の状況が変化した場合には、年間売却ペースの範囲内で一時的に金額を調整したり売却を停止したりすることがあり、不動産投資信託(J-REIT)の売却ペースは年約50億円に据え置く。改正された「ETFおよびJ-REITの処分に関する基本要領」は2027年1月1日に施行される。

「主な意見」は11月10日、金融政策決定会合の議事要旨は12月23日に公表される予定だ。